何が起きたか
ロームは2026年4月に、第5世代のSiC(炭化ケイ素)MOSFETを開発したと発表した[1]。耐圧とチップサイズをそろえて比べると、175℃の高温動作時のオン抵抗は第4世代より約30%小さい[1]。2026年7月からは、この世代を載せたディスクリート製品とモジュールのサンプル提供を始めている[1]。2026年6月のPCIM Europe 2026では、車載向けSiCパワーモジュールTRCDRIVE packの改良版Type 2も公開した[1]。
なぜ重要か
素子構造は、第2世代がプレーナー型、第3・第4世代がトレンチ型で、第5世代で再びプレーナー型になった[1]。トレンチ型は素子を高密度にしやすく、オン抵抗を下げるのに有利とされる。プレーナー型は、ゲート−ソース間電圧(VGS)の許容範囲を広げやすい[1]。そのため、プレーナー型の利点を生かしながら第4世代比約30%減を実現した点が、開発上の難所だった[1]。VGSの定格は、定常時が−7〜+23V、短時間のスパイクで−10〜+26Vである。この拡大は、第4世代の顧客からの要望を反映したものである[1]。ロームはプレーナー型とトレンチ型の開発部隊を別々に置いて並行開発し、約2年ごとの新世代投入につなげている[1]。他社には、プレーナー型からトレンチ型へ軸を一本化する例もある[1]。
関係する企業・工程とサプライチェーン上の位置
ロームはLSIやパワー半導体素子を作る企業である。第5世代SiC MOSFETの想定用途は、電気自動車の駆動用インバーターと、AIサーバやデータセンターの電源である[1]。サプライチェーンでは、素子の設計と製造を担うデバイスの段階にあたる。完成した素子やモジュールは、車載機器や電源機器の部品として使われる。