何が起きたか
東京科学大学、東京大学、北里大学、筑波大学らの研究グループは、2026年10月、有機半導体の性能がデバイス界面の分子の構造と動きに強く左右されることを実証したと発表した[1]。
n型有機半導体PhC2-BQQDIを基に、フッ素を入れる位置を変えた分子群を新たに開発した[1]。単結晶薄膜トランジスタを試作して比べると、パラ位に入れた分子の移動度は最大3.6cm2/(V·s)、メタ位は0.9cm2/(V·s)となり、4倍以上の差が出た[1]。
なぜ重要か
移動度とは、電荷が材料の中をどれだけ動きやすいかを表す値である。有機半導体は、無機半導体より一桁以上低いことが課題だった[1]。
注目点は、2つの分子の結晶構造が似ており、分子間の電荷の移りやすさを示すトランスファー積分の計算でも、明確な差が出なかったことである[1]。止まった構造を見るだけでは、性能差を説明できなかった。
分子動力学シミュレーションでは、メタ位の分子のほうが運動が大きく、パイ軌道の重なりが乱されやすかった[1]。この分子は異なる分子層を介した相互作用で集合体を安定化させており、その場合に移動度は低下した[1]。研究グループは、同じ電荷輸送層の中で安定化させる置換基の設計が、性能向上につながるとしている[1]。
関係する企業・工程とサプライチェーン上の位置
今回の成果は、チップの製造工程ではなく、素子に使う材料の分子設計の段階に関わる。有機半導体は軽量で柔軟性や透明性があり、インクのように塗って回路を作れるため、電子ディスプレイなどに使われている[1]。移動度は、その材料で作る素子の性能を左右する指標である。
知りたいことは分かりましたか?
ありがとうございました。今後の改善に使います。