何が起きたか
米国の新興企業Kepler Computing(2018年創業)は、AIチップ向けのHBM(広帯域メモリ)やSRAM(高速な小容量メモリ)の代替となる新型メモリを、2027年までに生産開始する計画である[1]。3次元積層技術と強誘電体メモリ技術を使い、電力当たりの帯域幅をHBMの5〜10倍にできるとしている[1]。製造ではGlobalFoundriesと提携し、自社ファブも建設した[1]。
なぜ重要か
HBMは、DRAMチップを縦に積み、TSV(シリコン貫通電極)でつないでプロセッサの近くに置くメモリである。一度に渡せるデータ量を増やすことが目的だ。一方、AIモデルの拡大により、DRAMとHBMの設計・製造コストの上昇や、消費エネルギーと放熱量の増加が起きている[1]。AIデータセンターのエネルギーの大半は、GPUとHBMの間のデータ転送に使われるという[1]。Keplerの案は、この転送にかかる電力を抑える狙いである。
仕組みの特徴は、従来の大きなトランジスタの上に別のデバイスを積む点にある[1]。トランジスタを微細化せずに済み、メモリ密度は2〜3倍、CMOSとの互換性もあるという[1]。
関係する企業・工程とサプライチェーン上の位置
日本企業の名前は出ていない。この話は、チップ内部にメモリを積む設計・製造の段階に関わる。同社は、EUV(極端紫外線)露光に依存せずAIチップを造れる見込みとしており、微細化を担うリソグラフィ(露光)工程との関係が変わる点が論点である[1]。数値の5〜10倍は、メモリが一定の電力で受け渡せるデータ量を表す。
知りたいことは分かりましたか?
ありがとうございました。今後の改善に使います。