チップの設計が、製造の技術ごとに決まる設計ルールと、用意された部品の一覧に従って進むことを説明する。線の幅や間隔の決まり、設計ルールの確認、ファブレスとファウンドリの分担、製造しやすさを考えた設計を扱う。
設計ルールと、設計と製造の分担(模式図)
- 設計と製造の分担共通の決まりでつながる
- 設計ルールの例幅と間隔に下限がある
図:左は、設計する側と製造する側のつながり。製造する側が、設計ルールと部品の一覧を渡し、設計する側が、それに従って設計した図面を渡す。右は、設計ルールの例。線の幅と、線の間隔に、それぞれ下限がある。目盛りのない模式図、本サイトで作成設計と製造は、決まりでつながる
チップの設計は、設計をする会社と、製造をする工場が別であることが多い。設計する側が、勝手な形の回路を描いても、工場では作れない。そこで、設計と製造のあいだには、共通の決まりがある。
このページでは、その決まりが何で、どう使われるかを見ていく。設計の流れ(前のページ)と、製造の工程(後の分野)をつなぐ内容である。
設計ルール
製造の技術には、作れる形の限界がある。たとえば、線の幅は、これより細くできない。線と線の間隔は、これより狭くできない。重ねる層の位置のずれは、これだけまでなら許せる。こうした、作れる形の条件をまとめたものが、設計ルールである。
設計ルールは、製造の技術(プロセスノードなど)ごとに違う。細かい技術ほど、細い線を描けるが、そのぶん、守るべき条件も細かくなる。製造する側は、自分の技術で確実に作れる範囲を調べ、設計ルールとして設計する側に渡す。
部品の一覧
設計する側は、トランジスタを一つずつ描くのではなく、あらかじめ用意された部品を組み合わせることが多い。論理ゲートや記憶の回路などの部品を、製造の技術ごとに、形と性質を決めて用意したものが、部品の一覧(セルの一覧)である。
設計ルールと、部品の一覧、部品の性質を計算するための情報などをまとめて、製造する側が設計する側に提供する。これを、設計のための一式(プロセス設計キット)と呼ぶ。設計する側は、この一式に従って設計すれば、その工場で作れる。
ファブレスとファウンドリの分担
設計だけを行い、工場を持たない会社を、ファブレスと呼ぶ。製造だけを請け負う会社を、ファウンドリと呼ぶ。この分担が成り立つのは、設計ルールと設計のための一式という、共通の決まりがあるからである。
ファブレスは、ファウンドリの設計ルールに従って設計する。ファウンドリは、決まりを守った設計を、確実に作る。同じ決まりを共有することで、設計と製造を、別々の会社が受け持てる。
設計ルールを守っているか確かめる
設計が終わったら、図面のデータが、設計ルールを守っているかを、道具で確かめる。細すぎる線や、狭すぎる間隔があれば、見つけて直す。この確認を、設計ルールの検査と呼ぶ。
検査に通った図面のデータは、製造に渡され、フォトマスクの作成に使われる。マスクは、一度作ると、直すのに大きな費用がかかる。そのため、渡す前の確認が大切になる。
ルールを守るだけでは、足りないこともある
設計ルールを守っていても、作りにくい形がある。たとえば、極端に細い線が長く続く形は、できあがりにばらつきが出やすく、不良が増える。そこで、ルールを満たしたうえで、作りやすい形を選ぶ設計の考え方がある。これを、製造しやすさを考えた設計と呼ぶ。
このページのまとめ
設計ルールは、製造の技術ごとに決まる、作れる形の条件である。製造する側が、設計ルールと部品の一覧を、設計のための一式として提供する。設計する側は、それに従って設計し、検査で確かめてから、製造に渡す。この共通の決まりが、ファブレスとファウンドリの分担を支えている。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
設計ルールとは何か。
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答え:1. 製造の技術で作れる形の条件をまとめた決まり
線の幅や間隔など、その製造技術で確実に作れる形の条件を、設計ルールとしてまとめる。
問2
ファブレスとファウンドリの分担が成り立つ理由として、適切なものはどれか。
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答え:1. 両者が共通の設計ルールと設計のための一式を使うから
共通の設計ルールと一式があるので、別々の会社が設計と製造を受け持てる。