センサーが出す小さな電気の信号を、増幅し、雑音を取り除き、デジタルの値に変えるまでの流れを説明する。増幅器とフィルター、時間で区切る標本化、段階に分ける量子化、分解能と速さのつり合い、センサーの近くで処理する理由を扱う。
信号を取り出す流れと、AD変換(模式図)
- 信号を取り出す流れ小さな信号を、扱いやすくする
- AD変換標本化と量子化
図:左は、センサーの信号を取り出す流れ。センサーの小さな信号を、増幅し、不要な成分を取り除き、デジタルの値に変える。右は、AD変換。時間で区切って測り(標本化)、値を段階に分ける(量子化)。目盛りのない模式図、本サイトで作成センサーの信号は、小さい
センサーは、温度や光、圧力などを、電気の信号に変える。しかし、その信号は、多くの場合、非常に小さい。そのままでは、デジタルの回路で扱えないし、まわりの雑音に埋もれてしまう。
このページでは、センサーの小さな信号を、扱いやすい形にするまでの流れを、順に見ていく。アナログ半導体と、デジタルへの橋渡しの話でもある。
増幅する
最初の段階は、増幅である。小さな信号を、扱いやすい大きさまで大きくする。増幅する回路を、増幅器と呼ぶ。
ここで大事なのは、信号だけを大きくして、雑音は大きくしないことである。増幅器自身も、雑音を出す。センサーの信号が小さいほど、この雑音の影響は大きい。そのため、センサーの信号を扱う増幅器は、雑音の少なさが特に重視される。
不要な成分を取り除く
増幅した信号には、必要な成分のほかに、不要な成分が混ざっている。電源の揺らぎや、まわりの機器から入る雑音などである。
そこで、必要な範囲の成分だけを通す回路(フィルター)を通す。たとえば、ゆっくり変わる温度の信号には、速い変化の成分は不要なので、それを取り除く。こうして、信号をきれいにする。
デジタルの値に変える
きれいにした信号を、デジタルの回路が扱える値に変える。この働きをする回路が、AD変換回路である。変換は、二つの操作でできている。
一つは、時間で区切ることである。連続して変わる信号を、一定の間隔で測り、その時刻の値だけを取り出す。これを、標本化と呼ぶ。もう一つは、値を段階に分けることである。測った値を、あらかじめ決めた段階の、いちばん近いところに当てはめる。これを、量子化と呼ぶ。
分解能と速さのつり合い
段階を細かくするほど、信号を細かく表せる。この細かさを、分解能と呼ぶ。分解能が高いほど、小さな違いを区別できる。
ただし、細かい段階に分けるには、時間か、回路の大きさか、電力がかかる。また、測る間隔を短くして、速く変換しようとすると、細かい分解能を保つのが難しくなる。用途に応じて、必要な細かさと速さを決める。
センサーの近くで処理する
小さな信号は、長い配線を通ると、雑音を拾ってしまう。そのため、増幅とAD変換は、センサーのなるべく近くで行う。センサーと処理の回路を、同じチップや、同じパッケージの中に入れる製品も多い。デジタルの値にしてから運べば、雑音に強くなる。
このページのまとめ
センサーの小さな信号は、増幅し、不要な成分を取り除き、AD変換でデジタルの値にして使う。AD変換は、時間で区切る標本化と、値を段階に分ける量子化でできている。分解能と速さはつり合いの関係にあり、処理は、雑音を避けるため、センサーの近くで行う。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
AD変換で行う二つの操作はどれか。
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答え:1. 時間で区切る標本化と、値を段階に分ける量子化
AD変換は、標本化(時間で区切る)と量子化(値を段階に分ける)でできている。
問2
増幅とAD変換をセンサーの近くで行う理由として、適切なものはどれか。
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答え:1. 小さな信号が長い配線で雑音を拾うのを避けるため
小さな信号は雑音に弱い。近くでデジタルの値にして運ぶと、雑音に強くなる。