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センサーの正しさを保つ:校正と補正

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 測れることと、正しく測れることは違う
  2. 出力のずれには、いくつかの種類がある
  3. 製造のあとに、基準と見比べる:校正
  4. 温度による変化を直す
  5. 雑音を減らす
  6. デジタルにして、計算で整える
  7. 長く使うために
  8. このページのまとめ
  9. 関係する工程と用語
  10. 次に読む
  11. 理解度チェック

センサーが出す信号を、正しい値として使うための工夫を説明する。出力のずれと温度による変化、製造後に行う校正、回路で行う補正、雑音の減らし方、信号をデジタルにして計算で直す流れを扱う。

出力のずれと、補正の流れ(模式図)

  1. 測る量出力本来実際ずれを調べる基準と見比べて補正の値を記録する
  2. センサーの小さな信号増幅するデジタルの値に変える記録した補正の値で計算して直す補正の流れ計算で整えてから渡す
図:左は、校正。測る量に対して、本来の出力(点線)と、実際の出力(実線)にずれがある。ずれを調べて補正の値を記録し、使うときに出力を直す。右は、補正の流れ。センサーの小さな信号を増幅し、デジタルに変え、計算で補正してから、機器の回路に渡す。目盛りのない模式図、本サイトで作成

測れることと、正しく測れることは違う

センサーは、温度や圧力、動きなどを電気の信号に変える。ただし、変えた信号が、いつも正しい値を示すとは限らない。同じ作り方をしても、センサーの一つ一つに、わずかなばらつきがあるからである。また、まわりの温度が変わると、センサーの出力がずれることもある。

機器が正しく動くためには、センサーの値が、本当の値に近くなければならない。そのため、センサーには、正しさを保つための工夫が組み込まれている。このページでは、その考え方を見ていく。

出力のずれには、いくつかの種類がある

センサーの出力のずれは、おもに次の種類に分けられる。

一つは、何も測っていないときにも、出力がゼロにならないずれである。たとえば、圧力のセンサーが、圧力がかかっていないのに、少し出力する。二つめは、測る量が大きくなるときの出力の増え方が、本来の割合と違うずれである。三つめは、温度などの周りの条件で、出力がずれることである。さらに、時間がたつうちに出力がゆっくり変わることもある。

これらのずれを、できるだけ小さくするのが、正しさを保つ工夫の目的である。

製造のあとに、基準と見比べる:校正

ずれを直すための基本は、校正である。製造したセンサーを、決まった条件に置き、本当の値を知っている基準と見比べる。たとえば、圧力のセンサーに、正確に分かっている圧力をかけて、出力がどれだけずれているかを測る。

ずれの大きさが分かったら、直すための補正の値を、センサーの中のメモリに記録する。センサーを使うときには、この値を使って出力を直す。部品ごとにばらつきがあるので、補正の値も部品ごとに違う。

校正は、製造の最後のテストの工程で行われる。数多くのセンサーを、決まった条件の下で一度に測るので、テストの装置とやり方が大切になる。

温度による変化を直す

センサーの出力は、温度でずれることが多い。そこで、センサーのそばに温度センサーを置き、温度を同時に測る。いくつかの温度で、センサーの出力のずれを調べておき、実際に使うときには、そのときの温度に応じて出力を直す。

この計算は、センサーと同じチップに作った小さな計算の回路で行うことが多い。計算の回路が、測ったばかりの値と、記録しておいた補正の値から、直した値を作り出す。

雑音を減らす

センサーの信号は、とても小さい。そのため、回路が出す雑音や、まわりの機器から入る雑音が、信号を乱しやすい。雑音を減らすための工夫は、いくつかある。

信号を大きくする増幅器を、センサーのすぐそばに置く。すると、信号が配線を通るあいだに雑音が加わる前に、信号を大きくできる。また、同じ値を何回も測って平均すれば、ランダムな雑音は小さくなる。さらに、必要な範囲の周波数だけを通すフィルターで、余分な雑音を除く方法もある。

デジタルにして、計算で整える

現在のセンサーの多くは、信号をデジタルに変えてから、計算で整える。アナログの回路だけで直すよりも、細かく柔軟に直せるからである。

流れは、次のとおりである。センサーが出した小さな信号を増幅し、デジタルの値に変える。計算の回路で、記録した補正の値を使って、ずれを直す。直した値を、機器の中心の回路に渡す。アナログとデジタルの半導体が、一つのセンサーの中で一緒に働いている。

長く使うために

センサーは、製造した直後だけでなく、長い間使われる。時間がたつと、部品の性質がゆっくり変わり、出力がずれていくことがある。この変わり方の小ささも、センサーの品質の一つである。

そのため、センサーの設計では、材料や構造を、性質が変わりにくいものにする。また、製造のあとに、熱や湿気を加える試験をして、長く使っても出力が大きくずれないか確かめる。

このページのまとめ

センサーの出力には、ばらつきや、温度によるずれがある。製造のあとに基準と見比べて校正し、補正の値を記録する。温度を同時に測って出力を直し、雑音は、増幅器の置き方や平均、フィルターで減らす。信号をデジタルに変えて計算で整えることで、細かく柔軟に直せる。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

センサーの校正の説明として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 決まった条件で基準と見比べ、出力のずれを調べて、補正の値を記録する

校正では、製造したセンサーを決まった条件に置き、基準と見比べてずれを調べる。補正の値は、センサーの中のメモリに記録する。

問2

センサーの信号の雑音を減らす方法として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 増幅器をセンサーのすぐそばに置き、雑音が加わる前に信号を大きくする

信号が配線を通るあいだに雑音が加わる前に、増幅器で信号を大きくすると、雑音の影響を小さくできる。