7. センサー・計測5 / 6ページ

磁気を感じる:ホール素子と磁気センサー

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 見えない力を、電気で知る
  2. ホール効果:電流が横に押される
  3. 小さく、静かに、長持ちする
  4. 回転と位置を知る
  5. 電流を測る
  6. 方位を知る
  7. 材料と作り方
  8. このページのまとめ
  9. 関係する工程と用語
  10. 次に読む
  11. 理解度チェック

磁石の力を電気の信号に変える磁気センサーの仕組みを説明する。ホール効果で電圧が生まれる仕組み、半導体の薄い板で作るホール素子、回転や位置の検出、電流を測る使い方、作る材料と回路との組み合わせを扱う。

ホール効果と回転の検出(模式図)

  1. 電流磁界板の両側の電圧板の両側に電圧磁界の強さと向きが分かる
  2. NS素子磁石が回り、出力が変わる回転の検出磁石が近づくたびに出力が変わる
図:左は、ホール素子。半導体の板に電流を流し、板に垂直に磁界をかけると、電流を運ぶ粒が片側に寄り、板の両側に電圧が生まれる。右は、回転の検出。軸に付けた磁石が回ると、そばのホール素子の出力が変わり、回転の速さや角度が分かる。目盛りのない模式図、本サイトで作成

見えない力を、電気で知る

磁石の力は、目に見えない。それでも、モーターがどれだけ回ったか、扉が閉まったか、スマートフォンがどちらを向いているかは、機器が知る必要がある。こうした場面で、磁石の力を電気の信号に変えるのが、磁気センサーである。

磁気センサーにはいくつかの方式がある。そのうち、半導体のチップに作り込みやすく、広く使われているのが、ホール効果を使う方式である。このページでは、ホール効果の仕組みと、使われ方を見ていく。

ホール効果:電流が横に押される

板の形をした半導体に、電流を流す。このとき、板に垂直に磁石の力(磁界)をかけると、電流の向きとも磁界の向きとも直角な向きに、電子や正孔が力を受ける。電流を運ぶ粒が、板の片側に寄せられる。

粒が片側に寄ると、板の両側の間に電圧が生まれる。これがホール効果であり、生まれた電圧をホール電圧と呼ぶ。磁界が強いほどホール電圧は大きく、磁界の向きが逆になると、ホール電圧の向きも逆になる。

つまり、電流を一定にして、板の両側の電圧を測れば、磁界の強さと向きが分かる。これがホール素子の仕組みである。

小さく、静かに、長持ちする

ホール素子は、半導体の薄い板でできており、動く部品がない。そのため、小さく作れ、振動に強く、長く使える。シリコンのチップの上に、回路と一緒に作り込める。

ただし、ホール電圧はとても小さい。そこで、信号を大きくする増幅器を、同じチップに作っておく。また、温度などによる出力のずれを、回路で補正する。素子だけでなく、回路と組み合わせて一つの部品になっている。

回転と位置を知る

ホール素子の代表的な使い方は、回転の検出である。回転する軸に小さな磁石を付け、そばにホール素子を置く。磁石が回って近づいたり離れたりするたびに、素子の出力が変わる。出力の変化を数えれば、回転の速さや角度が分かる。

扉が閉まったかどうかの検出も同じ考え方である。扉に磁石を付け、枠にホール素子を置く。扉が閉まって磁石が近づくと、素子の出力が変わる。磁石と素子が触れ合わないので、汚れや水に強い。

電気自動車やエアコンのモーターでは、回転する部分の位置を正しく知って、電流の流し方を細かく制御する必要がある。ここにも、ホール素子が使われる。

電流を測る

電流が流れると、まわりに磁界ができる。電流が大きいほど磁界も強い。そこで、電流の通る導線のそばにホール素子を置けば、導線に触れずに電流の大きさを測れる。

この方法は、大きな電流を扱うインバーターや電源の回路で使われる。電気を扱う回路と、測る回路が電気的につながっていないので、安全に測れる利点がある。測った電流の値は、前のページまでに学んだパワー半導体の制御に使われる。

方位を知る

スマートフォンの地図は、機器の向きを知って画面を回す。これは、地球の磁界を測る磁気センサーで行っている。地球の磁界は弱いので、とても感度の高いセンサーが必要になる。

感度を高めるために、ホール素子とは別の原理を使うセンサーもある。磁界によって電気の通りやすさが変わる薄い膜を使う方式である。用途に応じて、方式が使い分けられる。

材料と作り方

ホール素子は、電子が動きやすい半導体ほど、大きなホール電圧が得られる。そのため、シリコンのほか、電子が速く動ける化合物の半導体で作られることもある。化合物の半導体は、前の分野で学んだように、エピタキシャル成長で作る。

どの材料でも、素子の形や、電極の位置、まわりの回路の作り方が、センサーの感度と正しさを決める。製造は、成膜、リソグラフィ、エッチングの流れで行われる。

このページのまとめ

磁気センサーの代表であるホール素子は、半導体の薄い板に電流を流し、磁界をかけたときに板の両側に生まれる電圧で、磁界の強さと向きを知る。動く部品がなく、回路と一緒に作り込める。回転や位置の検出、電流の測定、方位の検出に使われる。電子が動きやすい材料ほど、大きな電圧が得られる。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

ホール効果で、半導体の板の両側に電圧が生まれる条件として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 板に電流を流し、板に垂直に磁界をかける

板に電流を流し、垂直に磁界をかけると、電流を運ぶ粒が片側に寄せられ、板の両側に電圧が生まれる。

問2

ホール素子を回転の検出に使うとき、軸に取り付けるものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 小さな磁石

回転する軸に小さな磁石を付け、そばにホール素子を置く。磁石が近づいたり離れたりするたびに、素子の出力が変わる。