7. センサー・計測4 / 6ページ

温度を測る:温度センサー

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 温度は、いちばん身近な測定
  2. 温度が上がると、電気の流れ方が変わる
  3. 電気の通りやすさを測る
  4. ダイオードとトランジスタの電圧を使う
  5. 熱くなりすぎたら、守る
  6. 触れずに測る:赤外線のセンサー
  7. 測った温度を正しく使うために
  8. このページのまとめ
  9. 関係する工程と用語
  10. 次に読む
  11. 理解度チェック

温度を電気の信号に変える温度センサーの仕組みを説明する。ダイオードやトランジスタの電圧が温度で変わる性質、チップの中に作り込む温度センサー、電気抵抗の変化を使う方法、離れた物の温度を測る赤外線のセンサー、使われ方を扱う。

温度を電圧で読み取る(模式図)

  1. 温度電圧温度が上がると電圧は下がる電圧と温度ほぼ決まった割合で下がる
  2. 熱温度見張る回路高すぎたら動きを抑えるチップの中のセンサー熱の出やすい場所のそばに置く
図:左は、ダイオードに一定の電流を流したときの、温度と両端の電圧の関係。温度が上がると、電圧はほぼ決まった割合で下がる。右は、チップの中の温度センサー。熱が出やすい場所のそばに小さなセンサーを作り込み、温度が高すぎるときは、回路の動きを抑えて守る。目盛りのない模式図、本サイトで作成

温度は、いちばん身近な測定

エアコン、冷蔵庫、体温計、自動車のエンジンなど、温度を測る機器は多い。半導体の機器も例外ではない。プロセッサは、使うほど熱を出す。熱くなりすぎると壊れたり、誤動作したりするので、温度を測って見張る必要がある。

温度を測るセンサーは、温度の変化を電気の信号に変える部品である。前のページで学んだMEMSのセンサーと同じく、半導体の性質を使って作られる。このページでは、温度が半導体の電気的な性質をどう変えるかと、それを使った温度センサーの種類を見ていく。

温度が上がると、電気の流れ方が変わる

分野「半導体の基礎」で学んだとおり、半導体は、温度が上がると電気を通しやすくなる。熱で結晶の中の電子が動きやすくなり、電気を運ぶ電子と正孔が増えるためである。金属は逆に、温度が上がると電気を通しにくくなる。

このように、温度によって電気の性質が決まった向きに変わる性質は、温度の測定に使える。電気の性質を測れば、温度が分かるからである。温度センサーは、どの電気の性質を測るかによって、いくつかの種類に分かれる。

電気の通りやすさを測る

もっとも単純な温度センサーは、温度によって電気の通りやすさが大きく変わる部品である。温度が変わると、部品を流れる電流や、部品にかかる電圧が変わる。この変化を回路で読み取れば、温度に直せる。

半導体や金属の細い線、薄い膜は、温度による変化が安定しており、温度センサーとして広く使われている。電子体温計や家電の温度の管理には、この種類が多い。

ダイオードとトランジスタの電圧を使う

シリコンのチップには、ダイオードやトランジスタが作り込まれている。ダイオードに一定の電流を流したとき、両端の電圧は、温度が上がると、ほぼ決まった割合で下がる。この性質は、温度を電圧として読み取るのに都合がよい。

チップの中に、温度を測るための小さなダイオードやトランジスタを作っておけば、特別な部品を付け加えなくても、チップの温度を測れる。ふつうの回路を作る製造の流れと同じ流れで作れるので、費用も増えにくい。

この方法の温度センサーは、プロセッサなどの大きなチップの中に、何か所も作り込まれている。熱が出やすい場所のそばに置けば、その場所の温度が分かる。

熱くなりすぎたら、守る

チップの中の温度センサーは、機器を守る役目を果たす。温度が決められた値を超えそうになると、回路が動く速さを下げて熱の出方を抑えたり、電源を切ったりする。これにより、チップや機器が壊れるのを防ぐ。

パワー半導体のように、大きな電力を扱う部品でも、同じ考え方が使われる。電流を流すと自分で熱くなるので、温度を測り、危ないときは電流を止める。温度センサーと保護の回路を、同じチップに一緒に作ることもある。

触れずに測る:赤外線のセンサー

温度の高いものは、赤外線という目に見えない光を出す。温度が高いほど、赤外線は強くなる。この赤外線を受けて電気の信号に変えれば、離れたところから温度を測れる。

赤外線を受ける部品には、赤外線で温まる小さな膜を使うものがある。膜がわずかに温まると、電気の性質が変わる。それを回路で読み取る。この部品を格子状に並べると、温度の分布を画像のように映せる。体温の測定や、設備の異常な発熱の発見に使われる。

測った温度を正しく使うために

温度センサーの出力は、そのままでは、実際の温度と少しずれている場合がある。部品ごとのばらつきがあるためである。そこで、製造したあとに、決まった温度で測って出力のずれを調べ、補正の値を記録する方法が使われる。

また、温度センサーは、測りたい場所の温度になるまでに時間がかかる。センサーが測る場所と、本当に知りたい場所が離れていると、値にずれが出る。置く場所や包み方も、測定の正しさに関わる。

このページのまとめ

半導体は、温度で電気の性質が変わる。この性質を使って、電気の通りやすさ、ダイオードやトランジスタの電圧を測れば、温度が分かる。チップの中にこうしたセンサーを作り込むと、熱くなりすぎたときに、チップを守れる。赤外線を受ける部品を使えば、離れた物の温度も測れる。測った値は、補正して使う。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

ダイオードに一定の電流を流したとき、温度が上がると両端の電圧はどうなるか。

答えと解説を見る

答え:1. ほぼ決まった割合で下がる

ダイオードの両端の電圧は、温度が上がると、ほぼ決まった割合で下がる。この性質を温度の測定に使える。

問2

チップの中に温度センサーを作り込む利点として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 熱くなりすぎたときに、動きを抑えたり電源を切ったりして、チップを守れる

チップの中の温度センサーが、熱くなりすぎそうなことを知らせる。回路が動く速さを下げたり、電源を切ったりして、チップが壊れるのを防げる。