チップや機器の間の通信が、電気の信号の形、データのまとめ方、誤りへの対応、上位の手順といった、複数の階層の決まりでできていることを説明する。速さ、距離、配線の数、電力のつり合いと、規格が共通であることの利点を扱う。
通信の階層と、方式を選ぶ観点(模式図)
- 通信の階層一部を入れ替えやすい
- 方式を選ぶ観点互いにつり合いの関係にある
図:左は、通信の階層。下から、電気の信号、データのまとめ方、手順の三つ。右は、方式を選ぶときの四つの観点。速さ、距離、配線の数、電力である。目盛りのない模式図、本サイトで作成通信には、決まりが重なっている
二つのチップが通信するとき、ただ電気の信号を送るだけでは、意味が伝わらない。電気の信号の形、データのまとめ方、誤りが起きたときの対応、何を頼み、何を返すかという手順など、決めなければならないことが、いくつもある。
通信の規格は、これらを、階層に分けて決めている。このページでは、その階層の考え方と、通信の方式を選ぶときの観点を見ていく。
階層の考え方
階層は、下から上へ、おおよそ次のように分かれる。
いちばん下は、電気の信号そのものの決まりである。どんな電圧の変化で、二つの状態を表すか、どれくらいの速さで送るか、何本の配線を使うか、といったことが決まっている。
その上は、データのまとめ方の決まりである。信号を、決まった大きさのかたまりに区切り、先頭に宛先や、誤りを見つけるための情報を付ける。受け取る側は、誤りを見つけたら、送り直しを求める。
さらに上は、何を頼み、何を返すかという手順の決まりである。たとえば、「この場所のデータを読みたい」と頼み、データを返す、という手順である。
階層に分けておくと、ある階層を入れ替えても、ほかの階層はそのまま使える。電気の信号の部分だけを、より速い方式に変えて、上の手順はそのまま使う、ということができる。
通信の方式を選ぶ観点
通信の方式は、用途に応じて選ぶ。主な観点は、四つある。
一つは、速さである。多くのデータを、短い時間で運べるか。二つめは、距離である。チップの中、基板の上、機器の外と、距離が長くなるほど、信号が弱まりやすく、速さを出しにくい。三つめは、配線の数である。配線を増やせば、速く運べるが、部品が大きくなり、費用が増える。四つめは、電力である。速く運ぶほど、電力は増えやすい。
この四つは、互いにつり合いの関係にある。用途ごとに、重視する点を決めて選ぶ。
規格が共通であることの利点
通信の規格が共通であれば、別々の会社が作ったチップや機器を、つなげて使える。メモリとプロセッサー、パソコンと周辺の機器などが、その例である。規格は、業界の団体などで決められ、各社が、それに合わせて製品を作る。
同じ規格のなかでも、速さの違う版がある。新しい版は、古い版とつなげて使えるよう、互換性を保つ設計が多い。
チップの中の、つなぎ方
一つのパッケージの中に、複数のチップを入れる設計では、チップの間をつなぐ通信の規格も作られている。チップの間の距離が短いので、少ない電力で、速く運べる。共通の規格があれば、別々のチップを、組み合わせやすい。
このページのまとめ
通信は、電気の信号、データのまとめ方、手順といった階層の決まりでできている。方式は、速さ、距離、配線の数、電力のつり合いで選ぶ。規格が共通であることで、別々の会社の製品どうしをつなげられる。
- 工程:回路設計(設計ツールを含む)
- 用語:チップレット:機能ごとに分けて作った小さなチップを、一つのパッケージ内で組み合わせて一つの製品として動かす方式。
- 用語:HBM:DRAMチップを縦に積み重ね、プロセッサの近くに搭載する高帯域幅のメモリ。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
通信の決まりを階層に分ける利点として、正しいものはどれか。
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答え:1. ある階層を入れ替えても、ほかの階層をそのまま使えるから
階層に分けると、電気の信号の部分だけを速い方式に変えるなど、一部を入れ替えやすい。
問2
通信の方式を選ぶときの観点として、適切でないものはどれか。
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答え:1. ウェーハの色
速さ、距離、配線の数、電力が主な観点である。ウェーハの色は関係しない。