ごみを入れない:クリーンルーム

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このページの目次
  1. 小さなごみが、不良の原因になる
  2. 空気を、天井から床へ流し続ける
  3. 外の空気を入れない
  4. 人が、大きなごみの元になる
  5. ウェーハのまわりだけを、さらにきれいにする
  6. ごみ以外にも、管理するもの
  7. きれいさを、数で表す
  8. 空気を動かし続けるための電力
  9. このページのまとめ
  10. 関係する工程と用語
  11. 次に読む
  12. 理解度チェック

半導体の工場で、空気中の小さなごみが不良の原因になる理由と、それを防ぐクリーンルームの仕組みを説明する。天井から床へ流れる空気、室内の気圧、人が持ち込むごみへの対策、ウェーハを密閉した容器で運ぶ工夫を扱う。

クリーンルームの仕組み(模式図)

  1. 天井のフィルター装置穴の開いた床・床下空気は壁の中を通って天井の上へ戻る空気を上から下へ流す部屋で生まれたごみを、すぐに床下へ運び去る
  2. ごみが線をつなぐ上から見た配線ごみが不良になる小さなごみでも、細い配線どうしをつないでしまう
図:左は、クリーンルームの断面。天井のフィルターを通したきれいな空気が、部屋を上から下へそろって流れ、穴の開いた床から床下へ抜け、壁の中を通って天井の上に戻る。右は、配線の間にごみが入り、本来つながらない線がつながってしまう様子。模式図、本サイトで作成

小さなごみが、不良の原因になる

チップの上の回路は、髪の毛の太さよりもはるかに細い線でできている。そのため、普段の生活では気にならないほど小さなごみでも、ウェーハの上に落ちると問題になる。

たとえば、リソグラフィで回路の形を写すときに、ごみがあると、その部分の形が正しく写らない。配線と配線の間にごみが入ると、本来つながらない線がつながったり、つながるはずの線が切れたりする。一つのごみが、一つのチップを不良にすることもある。

不良が増えれば、良品の割合(歩留まり)が下がり、費用が上がる。そこで、半導体の工場では、空気中のごみを極めて少なくした部屋で製造を行う。この部屋を「クリーンルーム」と呼ぶ。

空気を、天井から床へ流し続ける

クリーンルームの基本は、きれいな空気を流し続けることである。

天井には、空気の中の細かいごみを取り除くフィルターが、すき間なく並んでいる。このフィルターを通ったきれいな空気が、天井から床へ向かって、部屋全体をゆっくり、そろって流れ落ちる。

床は、すのこのように穴の開いた形になっていて、空気はその穴から床下へ抜ける。床下に集めた空気は、壁の中などを通って天井の上に戻り、再びフィルターを通って部屋へ送られる。

部屋の中で生まれたごみは、この上から下への流れに乗って、すぐに床下へ運ばれる。空気が渦を巻かずにそろって流れるので、ごみが部屋の中を漂ったり、ウェーハの上に舞い上がったりしにくい。

外の空気を入れない

クリーンルームの中の気圧は、外より少し高く保たれている。そのため、扉を開けたときや、わずかなすき間があるときでも、空気は中から外へ流れる。外の汚れた空気は、中に入り込みにくい。

部屋に入る前には、空気を強く吹き付けて、体や服に付いたごみを落とす小部屋(エアシャワー)を通る。持ち込む物も、決まった方法で拭いたり、包装を外したりしてから入れる。

人が、大きなごみの元になる

クリーンルームの中で、ごみを多く出すのは、実は人である。人の皮膚や髪、普段の服からは、絶えず細かいごみが出ている。動くと、さらに多くなる。

そのため、クリーンルームで働く人は、頭から足先までを覆う、ごみの出にくい専用の服(防じん服)を着る。手袋やマスクも着ける。化粧品など、ごみの元になる物の持ち込みも制限される。部屋の中では、走らない、むやみに動かないといった決まりもある。

ウェーハのまわりだけを、さらにきれいにする

部屋全体を極めてきれいに保つには、大きな費用がかかる。そこで、ウェーハが触れる空間だけを、特にきれいに保つ考え方が広がっている。

ウェーハは、外の空気から遮った、密閉した容器に入れて運ぶ。装置には、この容器をつなぐ口があり、ウェーハは容器から装置の中へ、外の空気に触れずに移される。装置の中や、容器をつなぐ部分は、部屋よりもさらにきれいな空気で満たされている。

容器の運搬も、人の手から機械に移ってきた。天井に張りめぐらせた軌道を、運搬の機械が走り、装置から装置へ容器を届ける。人がウェーハに近づく機会が減るので、ごみを持ち込むおそれも減る。

ごみ以外にも、管理するもの

クリーンルームで管理するのは、目に見えるごみだけではない。

空気中に漂う、ごく少量の化学物質も、ウェーハの表面に付いて、膜の性質や形の写り方を変えることがある。そのため、こうした物質を取り除くフィルターも使われる。

温度と湿度も、一定に保たれる。温度が変わると、装置や材料がわずかに伸び縮みし、回路の形を写す位置がずれる。湿度は、リソグラフィで使う感光材の性質に影響する。

また、細かい形を写す装置は、わずかな揺れも嫌う。工場の建物は、床や柱の揺れを抑えるように作られる。リソグラフィの部屋では、感光材が反応しない色の照明が使われることもある。

きれいさを、数で表す

クリーンルームのきれいさは、決まった量の空気の中に、決まった大きさ以上のごみがいくつあるかで表す。ごみが少ないほど、きれいさの等級が高くなる。等級の決め方は、国際的な規格で定められている。

工場の中のすべての場所が、同じきれいさである必要はない。回路の形を写す場所や、ウェーハがむき出しになる場所は、特に高い等級に保つ。一方で、人の通路や、装置の裏側で保守をする場所は、それより低い等級でよい。場所ごとに必要なきれいさを決めることで、費用を抑えている。

部屋の中には、ごみの数を数える計器が置かれ、きれいさを常に見張っている。数が増えたときは、原因を探して取り除く。

空気を動かし続けるための電力

クリーンルームでは、大量の空気を一日中フィルターに通し、温度と湿度を整え続けている。そのため、空気を送る機械や、冷やしたり温めたりする設備が、多くの電力を使う。工場の電力の中で、こうした設備の占める分は小さくない。

空気の流れ方を工夫して必要な量を減らしたり、ウェーハのまわりだけを特にきれいにしたりする考え方は、電力を減らすことにもつながっている。

このページのまとめ

チップの回路は非常に細いので、小さなごみでも不良の原因になる。クリーンルームでは、天井のフィルターを通したきれいな空気を床へ流し続け、ごみをすぐに運び去る。室内の気圧を外より高くして、外の空気を入れない。ごみを多く出す人は専用の服を着て、ウェーハは密閉した容器に入れて機械で運ぶ。温度、湿度、化学物質、揺れも管理する。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

クリーンルームの中の空気の流れとして、正しいものはどれか。

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答え:2. 天井のフィルターを通したきれいな空気が、床へ向かってそろって流れ落ち、床下へ抜ける

天井のフィルターを通った空気が、部屋全体を上から下へそろって流れ、床の穴から床下へ抜ける。部屋で生まれたごみは、この流れに乗ってすぐに運び去られる。

問2

クリーンルームの中の気圧を、外より少し高く保つ理由として、正しいものはどれか。

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答え:3. 空気が中から外へ流れるようにして、外の汚れた空気が入り込みにくくするため

中の気圧が高いと、扉やすき間では、空気が中から外へ流れる。そのため、外の汚れた空気が中に入り込みにくい。

問3

ウェーハを密閉した容器に入れて運ぶ理由として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. ウェーハのまわりの空間だけを特にきれいに保ち、外の空気やごみに触れさせないため

部屋全体を極めてきれいに保つより、ウェーハが触れる空間だけを特にきれいにするほうが効率がよい。密閉した容器から、外の空気に触れずに装置へ移す。