国はなぜ半導体を支えるのか:政策の考え方と仕組み

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このページの目次
  1. 半導体は、国の政策の対象になっている
  2. なぜ国が支えるのか
  3. 支援の三つの基金
  4. 支援の形の違い
  5. 支援の例
  6. 投資を呼び込む枠組み
  7. 政策の情報を読むときの注意
  8. このページのまとめ
  9. 次に読む
  10. 理解度チェック
  11. 出典

国が半導体の生産や研究開発を支える理由と、その仕組みを、経済産業省と財務省の資料をもとに説明する。経済安全保障の考え方、三つの基金、支援の例、投資を呼び込む枠組み、政策の情報を読むときの注意を扱う。

半導体を支える仕組み(模式図)

  1. 先端半導体基金先端のロジックメモリの工場経済安全保障基金レガシー半導体装置・部素材・原料ポスト5G基金先端半導体の研究開発三つの基金基金のほかに、税の負担を軽くする仕組みもある
  2. 特定重要物資に指定法律を整える基金などで支える工場研究開発人材の育成支援の考え方の流れ金額や枠組みは、資料の時点のもの
図:左は、経済産業省の2024年の資料に示された、半導体を支える三つの基金と、それぞれが主に支える対象。右は、支援の考え方の流れ。半導体を特定重要物資に指定し、法律を整え、基金などで工場や研究開発、人材の育成を支える。本サイトで作成

半導体は、国の政策の対象になっている

ここまでのページで、半導体の工場を建てるには非常に大きな費用と長い時間がかかること、製造が特定の地域に集まると供給が止まるおそれがあることを学んだ。こうした理由から、日本を含む多くの国が、半導体の生産や研究開発を、国の政策として支えている。

このページでは、日本の国が半導体をどのように支えているのかを、経済産業省と財務省の資料をもとに整理する[1][2]。政策は、その後も変わり続けている。ここに書く金額や枠組みは、資料の時点のものである。

なぜ国が支えるのか

半導体は、スマートフォンやパソコンだけでなく、自動車、通信、電力、医療など、社会を支える多くの機器に使われている。半導体が手に入らなくなると、こうした機器が作れなくなり、暮らしや経済に大きな影響が出る。

そのため、半導体を必要なときに確実に手に入れられるようにすることは、国の安全にも関わる課題と考えられるようになった。こうした考え方を「経済安全保障」と呼ぶ。経済安全保障推進法にもとづき、2022年12月に、半導体は「特定重要物資」に指定された[1]。供給が止まらないように、国が特に取り組む物資という位置づけである。

支援の三つの基金

経済産業省の資料では、半導体への支援の仕組みとして、主に三つの基金が示されている[1]。

* 先端半導体基金:先端のロジックやメモリの工場への設備投資を支える[1]。* 経済安全保障基金:古い世代の技術で作る半導体(レガシー半導体)や、製造装置、部素材、原料の生産の力を強める投資を支える[1]。* ポスト5G基金:先端半導体の研究開発を、委託や補助の形で支える[1]。

このうちポスト5G基金の事業は、NEDOが実施しており、先端半導体を国内で設計し製造できる技術の確保を目的にしている[3]。

基金のほかに、レガシー半導体の設備投資に対して、税の負担を軽くする仕組み(税額控除)も示されている[1]。

支援の形の違い

国の支援には、いくつかの形がある。形によって、国と会社の関わり方が違う。

* 補助:会社が行う設備への投資などの費用の一部を、国が負担する。工場を建てるのは会社で、国はその費用の一部を支える。* 委託:国が、会社や研究機関に研究開発を頼み、その費用を国が出す。成果は、国が決めた目的に沿って使われる。* 税の軽減:会社が設備に投資したときなどに、納める税を軽くする。お金を直接渡すのではなく、負担を減らす形である。

このほかに、会社への出資や、会社がお金を借りるときに国の機関が保証する形もある。どの形を使うかは、支援の目的や、民間だけでは進めにくい度合いによって選ばれる。

支援の例

経済産業省の資料には、支援の対象になった工場の例が挙げられている。たとえば、熊本のロジック半導体の工場(JASM)には、2022年6月の認定で、最大4,760億円の助成が示されている[1]。ほかにも、三重のフラッシュメモリの工場や、広島のDRAMの工場などが、支援の例として挙げられている[1]。

次の世代のロジック半導体を目指すラピダスには、研究開発に必要な予算として、最大9,200億円の支援が決定されたと示されている[1]。

投資を呼び込む枠組み

国の支援は、国のお金だけで工場や研究開発をまかなうためのものではない。国が支えることで、会社の投資を呼び込むことも狙いの一つである。

財務省の資料では、AIと半導体の分野について、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」が示されている[2]。この枠組みでは、今後10年間で、官民が協力して、AIと半導体に関わる産業への国内投資を50兆円超とする目標が掲げられている[2]。また、先端・次世代の半導体の国内の生産拠点の整備や、研究開発への支援などに、計1.9兆円規模の予算を充てるとされている[2]。

政策の情報を読むときの注意

政策の情報を読むときには、いくつか注意したい点がある。

一つ目は、時点である。予算や支援の額は、年度ごとの予算や、個別の決定によって変わる。このページの金額は、資料の時点のものであり、最新の状況は、国の発表で確かめる必要がある。

二つ目は、額の意味である。「最大」の額は、支援できる上限であって、実際に支払われた額とは限らない。また、予算の額、個別の支援の額、官民の投資の目標の額は、それぞれ別のものである。

三つ目は、支援の対象と、会社の業績は別のものだということである。国の支援を受けることは、その会社の将来を約束するものではない。このサイトでは、会社の情報を、事実と出典をもとに示していく。

このページのまとめ

半導体は社会を支える多くの機器に欠かせないため、日本では経済安全保障の考え方から、2022年12月に特定重要物資に指定された。経済産業省の資料では、先端半導体基金、経済安全保障基金、ポスト5G基金の三つの基金を中心に、工場や研究開発への支援が示されている。財務省の資料では、官民で国内投資を呼び込む「AI・半導体産業基盤強化フレーム」が示されている。金額は資料の時点のもので、最新の状況は国の発表で確かめる必要がある。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

国が半導体を支える理由として、本文で説明した考え方はどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 半導体を必要なときに確実に手に入れられるようにすることが、国の安全にも関わるという経済安全保障の考え方

半導体は社会を支える多くの機器に使われ、手に入らなくなると大きな影響が出る。そのため、確実に手に入れられるようにすることが、国の安全にも関わると考えられるようになった。

問2

経済産業省の資料で、先端のロジックやメモリの工場への設備投資を支えるとされている基金はどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 先端半導体基金

先端半導体基金は先端のロジックやメモリの工場への設備投資、経済安全保障基金はレガシー半導体や製造装置・部素材・原料、ポスト5G基金は研究開発を支える。

問3

政策の金額を読むときの注意として、本文で挙げているものはどれか。

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答え:1. 「最大」の額は支援できる上限であって、実際に支払われた額とは限らない

「最大」の額は上限であり、実際に支払われた額とは限らない。また、予算の額、個別の支援の額、投資の目標の額は別のもので、金額は時点によって変わる。

出典

  1. 半導体政策について(参考資料3)(外部サイト)経済産業省 商務情報政策局 情報産業課(内閣府 経済財政諮問会議の資料)公表日:確認日:
  2. 令和7年1月 財務大臣年頭所感(外部サイト)財務省確認日:
  3. 「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(助成)」の実施体制の決定について(外部サイト)国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)確認日: