複数のセンサーの出力を組み合わせて、単独では得にくい情報を得るセンサーフュージョンの考え方を説明する。加速度、角速度、磁気の組み合わせ、それぞれの弱点を補う仕組み、常時動かすための省電力の工夫を扱う。
センサーを組み合わせる流れと、弱点の補い合い(模式図)
- 組み合わせる流れ時刻をそろえて計算する
- それぞれの弱点出方が違うので補える
図:左は、三つのセンサーの出力を、時刻をそろえて計算に集め、向きと動きを求める流れ。右は、それぞれの弱点。互いに補い合う。目盛りのない模式図、本サイトで作成一つのセンサーでは、足りないことがある
どのセンサーにも、得意なことと、苦手なことがある。一つのセンサーだけでは、知りたい情報が正確に得られない場合がある。そこで、複数のセンサーの出力を組み合わせて、より確かな情報を得る。これが、センサーフュージョンの考え方である。
スマートフォンや、ゲームの操作機器、ドローンなどでは、機器の向きや動きを知るために、複数のセンサーが組み合わされている。
動きと向きを測るセンサー
向きや動きを知るために、よく使われるセンサーは三つある。一つは、加速度を測るセンサーである。機器が動いたり、傾いたりしたときの、力の変化を測る。二つめは、回転の速さ(角速度)を測るセンサーである。機器がどれだけ速く回っているかが分かる。三つめは、磁気を測るセンサーで、地球の磁気から、方位を知る手がかりが得られる。
それぞれの弱点
それぞれのセンサーには、弱点がある。加速度のセンサーは、機器が動いているあいだ、傾きと動きの区別がつきにくい。回転の速さのセンサーは、短い時間では正確だが、その値を積み重ねて向きを求めると、少しずつずれが溜まっていく。磁気のセンサーは、近くに鉄や磁石があると、乱される。
つまり、どのセンサーも、単独では完全ではない。ただし、弱点の出方がそれぞれ違うことが、組み合わせの利点になる。
互いの弱点を補う
組み合わせるときは、各センサーの得意なところを使う。たとえば、短い時間の動きは、回転の速さのセンサーを信頼し、長い時間でのずれは、加速度や磁気のセンサーで直す。
この計算は、小さなプロセッサーや専用の回路で行う。各センサーの値と、それぞれの信頼できる度合いを組み合わせて、最も確からしい向きや動きを求める。計算には、前のページで学んだ校正の値も使われる。
時刻をそろえる
組み合わせるには、各センサーの値が、同じ時刻のものでなければならない。時刻がずれると、計算の結果もずれる。そのため、センサーの値には、測った時刻の情報を付け、時刻をそろえて処理する。
常に動かすための省電力
向きや動きのセンサーは、機器が動いているあいだ、常に見張る必要がある。しかし、大きなプロセッサーを常に動かすと、電池が持たない。そこで、センサーの値を、小さな専用の回路で先に処理し、必要なときだけ、大きなプロセッサーを呼び出す設計が使われる。
このページのまとめ
複数のセンサーを組み合わせて、単独では得にくい情報を得る考え方を、センサーフュージョンと呼ぶ。加速度、回転の速さ、磁気のセンサーは、それぞれ弱点があるが、出方が違うので、互いに補える。時刻をそろえ、省電力の工夫をして、常に動かす。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
センサーを組み合わせると良い理由として、適切なものはどれか。
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答え:1. センサーごとに弱点の出方が違い、互いに補えるから
弱点の出方がそれぞれ違うので、得意なところを使って、互いの弱点を補える。
問2
向きと動きのセンサーを常に動かすための工夫として、正しいものはどれか。
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答え:1. 小さな専用の回路で先に処理し、必要なときだけ大きなプロセッサーを呼ぶ
常に大きなプロセッサーを動かすと電池が持たない。小さな回路で先に処理する。