7. センサー・計測9 / 9ページ

複数のセンサーを合わせる:センサーフュージョン

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 一つのセンサーでは、足りないことがある
  2. 動きと向きを測るセンサー
  3. それぞれの弱点
  4. 互いの弱点を補う
  5. 時刻をそろえる
  6. 常に動かすための省電力
  7. このページのまとめ
  8. 関係する工程と用語
  9. 次に読む
  10. 理解度チェック

複数のセンサーの出力を組み合わせて、単独では得にくい情報を得るセンサーフュージョンの考え方を説明する。加速度、角速度、磁気の組み合わせ、それぞれの弱点を補う仕組み、常時動かすための省電力の工夫を扱う。

センサーを組み合わせる流れと、弱点の補い合い(模式図)

  1. 加速度回転の速さ磁気時刻をそろえて計算する向きと動きを求める組み合わせる流れ時刻をそろえて計算する
  2. 加速度傾きと動きを区別しにくい回転の速さ積み重ねるとずれが溜まる磁気鉄や磁石に乱されるそれぞれの弱点出方が違うので補える
図:左は、三つのセンサーの出力を、時刻をそろえて計算に集め、向きと動きを求める流れ。右は、それぞれの弱点。互いに補い合う。目盛りのない模式図、本サイトで作成

一つのセンサーでは、足りないことがある

どのセンサーにも、得意なことと、苦手なことがある。一つのセンサーだけでは、知りたい情報が正確に得られない場合がある。そこで、複数のセンサーの出力を組み合わせて、より確かな情報を得る。これが、センサーフュージョンの考え方である。

スマートフォンや、ゲームの操作機器、ドローンなどでは、機器の向きや動きを知るために、複数のセンサーが組み合わされている。

動きと向きを測るセンサー

向きや動きを知るために、よく使われるセンサーは三つある。一つは、加速度を測るセンサーである。機器が動いたり、傾いたりしたときの、力の変化を測る。二つめは、回転の速さ(角速度)を測るセンサーである。機器がどれだけ速く回っているかが分かる。三つめは、磁気を測るセンサーで、地球の磁気から、方位を知る手がかりが得られる。

それぞれの弱点

それぞれのセンサーには、弱点がある。加速度のセンサーは、機器が動いているあいだ、傾きと動きの区別がつきにくい。回転の速さのセンサーは、短い時間では正確だが、その値を積み重ねて向きを求めると、少しずつずれが溜まっていく。磁気のセンサーは、近くに鉄や磁石があると、乱される。

つまり、どのセンサーも、単独では完全ではない。ただし、弱点の出方がそれぞれ違うことが、組み合わせの利点になる。

互いの弱点を補う

組み合わせるときは、各センサーの得意なところを使う。たとえば、短い時間の動きは、回転の速さのセンサーを信頼し、長い時間でのずれは、加速度や磁気のセンサーで直す。

この計算は、小さなプロセッサーや専用の回路で行う。各センサーの値と、それぞれの信頼できる度合いを組み合わせて、最も確からしい向きや動きを求める。計算には、前のページで学んだ校正の値も使われる。

時刻をそろえる

組み合わせるには、各センサーの値が、同じ時刻のものでなければならない。時刻がずれると、計算の結果もずれる。そのため、センサーの値には、測った時刻の情報を付け、時刻をそろえて処理する。

常に動かすための省電力

向きや動きのセンサーは、機器が動いているあいだ、常に見張る必要がある。しかし、大きなプロセッサーを常に動かすと、電池が持たない。そこで、センサーの値を、小さな専用の回路で先に処理し、必要なときだけ、大きなプロセッサーを呼び出す設計が使われる。

このページのまとめ

複数のセンサーを組み合わせて、単独では得にくい情報を得る考え方を、センサーフュージョンと呼ぶ。加速度、回転の速さ、磁気のセンサーは、それぞれ弱点があるが、出方が違うので、互いに補える。時刻をそろえ、省電力の工夫をして、常に動かす。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

センサーを組み合わせると良い理由として、適切なものはどれか。

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答え:1. センサーごとに弱点の出方が違い、互いに補えるから

弱点の出方がそれぞれ違うので、得意なところを使って、互いの弱点を補える。

問2

向きと動きのセンサーを常に動かすための工夫として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 小さな専用の回路で先に処理し、必要なときだけ大きなプロセッサーを呼ぶ

常に大きなプロセッサーを動かすと電池が持たない。小さな回路で先に処理する。