2. 半導体材料とウェーハ5 / 11ページ

ウェーハの仕様を読む:大きさ、厚さ、向き、抵抗

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. ウェーハにも、仕様がある
  2. 大きさと厚さ
  3. 結晶の面の向き
  4. 導電型と、電気の流れやすさ
  5. 表面の状態
  6. 用途による違い
  7. このページのまとめ
  8. 関係する工程と用語
  9. 次に読む
  10. 理解度チェック

ウェーハを選ぶときに決める主な仕様を説明する。直径と厚さ、結晶の面の向きと向きを示す切り欠き、電気の流れやすさ(抵抗率)と導電型、表面の平らさや粒子の少なさを扱い、用途によって求められる仕様が違うことを示す。

ウェーハの見た目と、主な仕様(模式図)

  1. 直径ノッチウェーハの見た目縁の切り欠きで向きを示す
  2. 直径と厚さ面方位導電型と抵抗率表面の状態主な仕様用途によって選ぶ
図:左は、ウェーハの上から見た図。縁に、結晶の向きを示す切り欠き(ノッチ)がある。右は、主な仕様の四つの項目。目盛りのない模式図、本サイトで作成

ウェーハにも、仕様がある

ウェーハは、どれも同じに見える。しかし、半導体の会社は、作るチップの用途に合わせて、ウェーハの仕様を細かく指定して買う。このページでは、主な仕様と、その意味を見ていく。

大きさと厚さ

まず、ウェーハの直径である。直径には、あらかじめ決まった種類がある。直径が大きいほど、一枚から取れるチップが多くなる。ただし、工場の装置は、決まった直径に合わせて作られているので、勝手に変えることはできない。

厚さも、直径に合わせて、決まった範囲がある。大きなウェーハは、扱うときに割れないよう、ある程度の厚さが必要である。用途によっては、後の工程で、厚さを薄く削る。

結晶の面の向き

結晶は、向きによって、原子の並び方が違って見える。ウェーハの表面が、結晶のどの面にあたるかを、面方位と呼ぶ。面方位によって、表面の電気の性質や、加工のしやすさが変わる。トランジスタに適した面が選ばれることが多い。

ウェーハの縁には、結晶の向きを示す、小さな切り欠き(ノッチ)がある。装置は、この切り欠きを目印に、ウェーハを正しい向きに合わせる。

導電型と、電気の流れやすさ

ウェーハには、あらかじめ不純物が加えられていて、n型かp型かが決まっている。これを導電型と呼ぶ。また、不純物の量によって、電気の流れやすさ(抵抗率)が決まる。

用途によって、必要な抵抗率は違う。大きな電力を扱うパワー半導体では、高い電圧に耐えるために、電気が流れにくい(不純物が少ない)層が必要になる。一方、論理回路では、別の考え方で抵抗率が選ばれる。

表面の状態

表面の平らさ、傷の少なさ、付いている粒子の少なさも、仕様である。回路が細かいほど、小さな粒子や、わずかな凹凸が、不良の原因になる。そのため、細かい回路を作るウェーハほど、表面の仕様は厳しくなる。

結晶の中の酸素などの不純物の量や、欠陥の少なさも、仕様として決められることがある。

用途による違い

論理回路や、メモリ、パワー半導体、センサーなどで、求められる仕様は違う。たとえば、表面に結晶の膜を育てたウェーハ(エピタキシャルウェーハ)や、絶縁膜をはさんだウェーハ(SOIウェーハ)のように、特別な構造のウェーハを使う場合もある。

ウェーハの会社は、顧客の用途に合わせて、仕様を調整して供給する。

このページのまとめ

ウェーハの仕様には、直径と厚さ、面方位と向きを示す切り欠き、導電型と抵抗率、表面の状態などがある。用途ごとに、必要な仕様は違い、細かい回路ほど表面の仕様は厳しくなる。ウェーハの仕様は、チップの性能と、歩留まりを左右する。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

ウェーハの縁にある小さな切り欠き(ノッチ)の役割はどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 結晶の向きを示し、装置がウェーハの向きを合わせる目印になる

ノッチは結晶の向きを示す目印である。装置は、これでウェーハを正しい向きに合わせる。

問2

ウェーハの抵抗率の仕様が用途で異なる例として、適切なものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 高い電圧に耐えるパワー半導体では、電気が流れにくい層が必要になる

パワー半導体は、高い電圧に耐えるため、不純物が少なく電気の流れにくい層を必要とする。