ウェーハを選ぶときに決める主な仕様を説明する。直径と厚さ、結晶の面の向きと向きを示す切り欠き、電気の流れやすさ(抵抗率)と導電型、表面の平らさや粒子の少なさを扱い、用途によって求められる仕様が違うことを示す。
ウェーハの見た目と、主な仕様(模式図)
- ウェーハの見た目縁の切り欠きで向きを示す
- 主な仕様用途によって選ぶ
図:左は、ウェーハの上から見た図。縁に、結晶の向きを示す切り欠き(ノッチ)がある。右は、主な仕様の四つの項目。目盛りのない模式図、本サイトで作成ウェーハにも、仕様がある
ウェーハは、どれも同じに見える。しかし、半導体の会社は、作るチップの用途に合わせて、ウェーハの仕様を細かく指定して買う。このページでは、主な仕様と、その意味を見ていく。
大きさと厚さ
まず、ウェーハの直径である。直径には、あらかじめ決まった種類がある。直径が大きいほど、一枚から取れるチップが多くなる。ただし、工場の装置は、決まった直径に合わせて作られているので、勝手に変えることはできない。
厚さも、直径に合わせて、決まった範囲がある。大きなウェーハは、扱うときに割れないよう、ある程度の厚さが必要である。用途によっては、後の工程で、厚さを薄く削る。
結晶の面の向き
結晶は、向きによって、原子の並び方が違って見える。ウェーハの表面が、結晶のどの面にあたるかを、面方位と呼ぶ。面方位によって、表面の電気の性質や、加工のしやすさが変わる。トランジスタに適した面が選ばれることが多い。
ウェーハの縁には、結晶の向きを示す、小さな切り欠き(ノッチ)がある。装置は、この切り欠きを目印に、ウェーハを正しい向きに合わせる。
導電型と、電気の流れやすさ
ウェーハには、あらかじめ不純物が加えられていて、n型かp型かが決まっている。これを導電型と呼ぶ。また、不純物の量によって、電気の流れやすさ(抵抗率)が決まる。
用途によって、必要な抵抗率は違う。大きな電力を扱うパワー半導体では、高い電圧に耐えるために、電気が流れにくい(不純物が少ない)層が必要になる。一方、論理回路では、別の考え方で抵抗率が選ばれる。
表面の状態
表面の平らさ、傷の少なさ、付いている粒子の少なさも、仕様である。回路が細かいほど、小さな粒子や、わずかな凹凸が、不良の原因になる。そのため、細かい回路を作るウェーハほど、表面の仕様は厳しくなる。
結晶の中の酸素などの不純物の量や、欠陥の少なさも、仕様として決められることがある。
用途による違い
論理回路や、メモリ、パワー半導体、センサーなどで、求められる仕様は違う。たとえば、表面に結晶の膜を育てたウェーハ(エピタキシャルウェーハ)や、絶縁膜をはさんだウェーハ(SOIウェーハ)のように、特別な構造のウェーハを使う場合もある。
ウェーハの会社は、顧客の用途に合わせて、仕様を調整して供給する。
このページのまとめ
ウェーハの仕様には、直径と厚さ、面方位と向きを示す切り欠き、導電型と抵抗率、表面の状態などがある。用途ごとに、必要な仕様は違い、細かい回路ほど表面の仕様は厳しくなる。ウェーハの仕様は、チップの性能と、歩留まりを左右する。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
ウェーハの縁にある小さな切り欠き(ノッチ)の役割はどれか。
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答え:1. 結晶の向きを示し、装置がウェーハの向きを合わせる目印になる
ノッチは結晶の向きを示す目印である。装置は、これでウェーハを正しい向きに合わせる。
問2
ウェーハの抵抗率の仕様が用途で異なる例として、適切なものはどれか。
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答え:1. 高い電圧に耐えるパワー半導体では、電気が流れにくい層が必要になる
パワー半導体は、高い電圧に耐えるため、不純物が少なく電気の流れにくい層を必要とする。