シリコンの結晶構造:1 cm³に約5×10²²個の原子が並ぶ

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 式
  2. 式のどこを見るか
  3. 数値例
  4. 基礎編のどこに効くか
  5. 次に読む
  6. 理解度チェック
  7. 出典

シリコンはダイヤモンド構造の結晶で、立方体の単位格子に8個の原子が入る。格子定数0.543 nmから、原子の数密度と最も近い原子の間隔を求める。不純物を1 cm³あたり1×10¹⁷個加えても、原子約50万個に1個にすぎないことを、数密度から見積もる。

シリコンは、格子定数0.543 nmの立方体に原子8個

  1. a(格子定数)単位格子を上から見る模式図
  2. 格子定数 a5.43 Å結合の長さ d2.35 Å036長さ(Å)格子定数と結合の長さd = √3 a/4
図:左は、ダイヤモンド構造の単位格子を真上から見た模式図。原子の位置を、面心立方の1組目(濃い丸)と、ずれて重なる2組目(薄い丸)に分けて示す。右は、格子定数と、最も近い原子との距離(結合の長さ)。値はイリノイ大学 ECE 340 Lecture 2

式

n=Ncella3,Vprim=a34

シリコンは、ダイヤモンド構造の結晶である。立方体の単位格子の一辺 a を格子定数といい、シリコンでは a=5.43 Å(0.543 nm)である[1]。単位格子に入る原子は Ncell=8 個で、面心立方の並びが2組、ずれて重なっている(4個と4個)[1]。n は原子の数密度である。面心立方の最小の単位(基本格子)の体積は a3/4 になる[1]。

式のどこを見るか

見るのは、格子定数 a が3乗で入っていることである。a が1%変わると、数密度は約3%変わる。

もう1つは、格子定数と、原子どうしの間隔の違いである。結合の長さ(最も近い原子との距離)は2.35 Å で、格子定数5.43 Å とは別の量である[1]。この2つは、d=3a/4 の関係にある(本サイトで計算)。

基本格子の体積は単位格子の4分の1なので、基本格子に入る原子は 8/4=2 個である(本サイトで計算)。

数値例

a=5.43 Å =5.43×10−8 cm を入れると、数密度は 8/a3 から約 5.0×1022 cm⁻³ になる(本サイトで計算)。出典の資料でも、約 5×1022 個と見積もっている[1]。

d=3a/4 からは約2.35 Å になり、出典の値と一致する(本サイトで計算)。基本格子の体積は約40 ų である(本サイトで計算)。

ドーパントを 1×1017 cm⁻³ 加えた場合、原子約 5.0×105 個(約50万個)に1個の割合である(本サイトで計算)。結晶の中のほとんどは、シリコン原子のままである。

基礎編のどこに効くか

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

シリコンの単位格子(立方体)に入る原子は、いくつか。

答えと解説を見る

答え:3. 8個

ダイヤモンド構造は、面心立方の並び2組が重なったものである。1組に4個ずつ、合わせて8個が単位格子に入る。

問2

格子定数が0.543 nm のシリコンで、原子の数密度はおよそいくつか。

答えと解説を見る

答え:3. 約5×10²² cm⁻³

数密度は 8/a³ である。a = 5.43×10⁻⁸ cm を入れると、約5.0×10²² cm⁻³ になる。

出典

  1. ECE 340 Lecture 2: Crystal structure(外部サイト)イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校確認日: