逆格子とブリルアンゾーン:シリコンの伝導帯の底は、Γ点からX点までの約85%にある

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 式
  2. 式のどこを見るか
  3. 数値例
  4. 基礎編のどこに効くか
  5. 次に読む
  6. 理解度チェック
  7. 出典

結晶の波数の世界を表す逆格子と、その基本の領域であるブリルアンゾーンを、シリコンで読む。面心立方の結晶の逆格子は体心立方で、格子定数0.543 nmから、Γ点、L点、X点の波数の大きさを求め、伝導帯の底の位置を波数の値で確かめる。

シリコンの伝導帯の底は、X点の少し手前にある

  1. ΓX伝導帯の底約85%〈100〉方向の波数Γ点からX点まで谷は全部で6個
  2. 伝導帯の底9.84L点10.02X点11.570510波数の大きさ(nm⁻¹)特別な点の波数2π/a ≈ 11.57 nm⁻¹
図:左は、Γ点(k=0)からX点まで〈100〉方向の波数の線と、伝導帯の底の位置(約85%)。右は、特別な点の波数の大きさ(格子定数0.543 nm から計算)。位置はウィーン工科大学の学位論文の解説、格子定数はイリノイ大学 ECE 340 Lecture 2、計算は本サイト

式

𝐆⋅𝐑=2πn(nは整数),kX=2πa

𝐑 は結晶の格子点を結ぶベクトル、𝐆 は逆格子ベクトルで、すべての 𝐑 に対して、内積が 2π の整数倍になるものをいう[2]。逆格子の点が並ぶ空間は、波数 𝐤 の空間である。

シリコンのような面心立方の結晶の逆格子は、体心立方になる[1]。その基本の領域がブリルアンゾーンで、体心立方の格子点の周りの領域(ウィグナー・ザイツセル)として、切頭八面体の形になる[1]。

式のどこを見るか

見るのは、ゾーンの特別な点である。Γ 点は原点(k=0)、X 点は (1,0,0)、L 点は (1/2,1/2,1/2) の位置にある(単位は 2π/a)[1]。X 点は正方形の面の中心、L 点は六角形の面の中心である[1]。Γ から X までの距離は 2π/a で、Γ から L までは 3/2 倍になる(本サイトで計算)。

シリコンの伝導帯の底は、Γ 点ではなく、Γ から X に向かう ⟨100⟩ 方向の約85%の位置にある[1]。同じ形の谷が、[100]、[010]、[001] とその反対向きで、全部で6個ある[1]。

k=2π/a に対応する電子波の波長は、λ=2π/k=a で、格子定数に等しい(本サイトで計算)。

数値例

格子定数 a=5.43 Å(0.543 nm)[3]を入れると、2π/a は約11.57 nm⁻¹ になる(本サイトで計算)。

X 点の波数は約11.57 nm⁻¹、L 点は約10.02 nm⁻¹ である(本サイトで計算)。伝導帯の底は、X 点の約85%で、約9.84 nm⁻¹ になる(本サイトで計算。約85%は出典の記述で、概数である)。

基礎編のどこに効くか

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

シリコンのような面心立方の結晶の逆格子は、どの格子か。

答えと解説を見る

答え:2. 体心立方格子

面心立方の結晶の逆格子は、体心立方である。逆格子の基本の領域が、ブリルアンゾーンになる。

問2

シリコンの伝導帯の底は、波数のどこにあるか。

答えと解説を見る

答え:3. Γ点からX点に向かう方向の、X点の手前(約85%の位置)

伝導帯の底は、Γ点ではなく、〈100〉方向でX点の約85%の位置にある。同じ谷が6個ある。

出典

  1. Brillouin zone and band structure of silicon(学位論文の解説ページ)(外部サイト)ウィーン工科大学(Dhar の学位論文)確認日:
  2. ECE 6451 Lecture 7: Three-dimensional crystals and band structure(外部サイト)ジョージア工科大学確認日:
  3. ECE 340 Lecture 2: Crystal structure(外部サイト)イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校確認日: