半導体の工場が多くの電力と水を使い、温室効果の強いガスも扱うことから、工場が環境に与える影響と、それを減らす工夫を説明する。電力を減らす工夫、ガスを分解する装置、水の再利用、化学物質の管理と、製品の使用時の電力を減らす半導体の役割を扱う。
工場の電力と、環境への工夫(模式図)
- 電力を使う場所どちらも、一日中動き続ける
- ガスと水の扱いガスは分解し、水はできるだけ使い回す
図:左は、工場の電力を使う主な場所。製造の装置と、工場の環境を保つ設備に分かれる。右は、環境への影響を減らす工夫。温室効果の強いガスは、使った後に分解してから外へ出し、水は汚れの程度に応じて分けて、もう一度使う。模式図、本サイトで作成工場は、多くの資源を使う
ここまでのページで、クリーンルーム、超純水、ガス、搬送の自動化といった、工場を支える技術を学んだ。こうした設備は、一日中休まず動き続ける。そのため、半導体の工場は、多くの電力と水を使う。
また、製造の工程では、温室効果の強いガスや、扱いに注意が必要な化学物質も使う。半導体は、ほかの製品の電力を減らすのに役立つ一方で、それを作る工場自体も、環境への影響を減らすことが求められている。このページでは、工場が向き合う環境の課題と、その工夫を見ていく。
電力をどこで使うか
工場の電力は、主に二つの場所で使われる。
一つは、製造の装置である。露光装置は、強い光を作り出すために多くの電力を使う。成膜やエッチングでプラズマを作る装置、ウェーハを高い温度に熱する装置、真空を作るポンプなども電力を使う。
もう一つは、工場の環境を保つ設備である。クリーンルームの空気を送り続ける機械、温度と湿度を整える設備、超純水を作る設備、使った後のガスを処理する装置などが、一日中動いている。
微細化が進むと、工程の数が増え、より多くの電力を使う装置も必要になる。そのため、工場の電力を減らす工夫が求められている。
電力を減らす工夫
電力を減らすために、多くの工夫がされている。
* 装置が処理をしていない間は、ポンプなどの動きを落として、待っている間の電力を減らす。* クリーンルームの空気の流し方を工夫し、特にきれいにする場所を絞って、送る空気の量を減らす。* 装置や設備から出る熱を回収して、ほかの場所を温めるのに使う。* 冷やすための水を、外の空気の冷たさを利用して冷やし、冷やす機械の電力を減らす。
さらに、使う電力を、太陽光や風力などの再生可能なエネルギーで作られたものに切り替える動きもある。
温室効果の強いガスを減らす
成膜の装置の内側の掃除や、エッチングでは、フッ素を含むガスが使われる。この中には、二酸化炭素と比べて、とても強い温室効果を持ち、大気の中に長く残るものがある。
そこで、まず、使う量そのものを減らす工夫がされる。必要な量だけを正確に流す、より温室効果の小さいガスに切り替える、といった方法である。
さらに、装置で使った後のガスを、外に出す前に分解する装置を使う。超純水とガスのページで学んだ除害装置のうち、熱やプラズマでガスを分解するものが、温室効果の強いガスも分解する。
水を何度も使う
超純水とガスのページで学んだとおり、工場は、ウェーハを洗い、すすぐために、多くの水を使う。工場の周りの水の資源を守るため、使った水を集めて処理し、もう一度使う割合を高めることが進められている。
水の汚れの程度に応じて、超純水の原料に戻す水、冷やすための水などに使う水、処理して外へ流す水に分ける。外へ流す水は、決まりに従って有害なものを取り除いてから流す。
化学物質を管理する
製造の工程では、酸やアルカリ、溶剤など、多くの化学物質を使う。これらは、使う量を正しく管理し、漏れないように扱う必要がある。
使った薬液は、種類ごとに分けて集め、処理したり、再び使えるようにしたりする。取り除いた汚れや、使い終わった材料も、決まりに従って処理される。
材料の中には、環境や人の体への影響が心配され、使い方の決まりが厳しくなっているものもある。そうした材料を別の材料に置き換える研究も進められている。
工場の外にも目を向ける
環境への影響は、工場の中だけで生まれるわけではない。工場で使う材料やガス、薬液を作るとき、運ぶときにも、電力や資源が使われる。
そのため、チップを作る会社は、材料や装置を供給する会社と協力して、サプライチェーン全体で環境への影響を減らす取り組みも進めている。工場の電力を減らすことと同じように、材料の作り方や運び方を見直すことも、環境への取り組みの一部である。
使う側での電力を減らす
半導体には、作るときの環境への影響とは別に、使われるときに、ほかの製品の電力を減らす役割もある。
分野「デバイス」で学んだパワー半導体は、電気の形を変えるときの無駄を減らし、モーターや電源の効率を上げる。微細化や設計の工夫で、同じ計算を少ない電力でこなせるチップも作られている。データセンターや電気自動車、家電で使われる電力を減らすうえで、半導体の性能が果たす役割は大きい。
作るときの影響と、使うときの効果の両方を考えることが、半導体と環境の関係を理解するうえで大切である。
このページのまとめ
半導体の工場は、製造の装置と、工場の環境を保つ設備で、多くの電力を使う。待っている間の電力を減らす、空気の量を減らす、熱を回収する、再生可能なエネルギーに切り替える、といった工夫がされている。温室効果の強いガスは、使う量を減らし、使った後に分解する。水は何度も使い、化学物質は種類ごとに管理する。半導体は、使われるときにほかの製品の電力を減らす役割も持っている。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
半導体の工場で、電力を使う主な場所として、本文で挙げているものの組み合わせはどれか。
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答え:1. 製造の装置と、クリーンルームの空気や温度を保つ設備などの工場の環境を保つ設備
工場の電力は、露光やプラズマ、熱を使う製造の装置と、クリーンルームの空気、温度と湿度、超純水、ガスの処理などの設備で主に使われる。
問2
エッチングなどで使うフッ素を含むガスへの対策として、本文で説明したものはどれか。
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答え:1. 使う量を減らしたり、温室効果の小さいガスに切り替えたりし、使った後のガスを分解する装置で処理する
温室効果の強いガスは、まず使う量を減らし、より温室効果の小さいガスへの切り替えを進める。使った後のガスは、熱やプラズマで分解する装置で処理してから外へ出す。
問3
半導体が、使われるときにほかの製品の電力を減らす例として、本文で挙げているものはどれか。
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答え:1. パワー半導体が、電気の形を変えるときの無駄を減らし、モーターや電源の効率を上げる
パワー半導体は、電気の形を変えるときの無駄を減らす。また、少ない電力で同じ計算をこなせるチップは、データセンターなどの電力を減らす。