半導体の工場で、高価な装置を安定して動かし続けるための保守の考え方を説明する。稼働率の意味、定期的な保守、消耗する部品、装置の調子の見張り、装置どうしの性能をそろえる作業、装置の会社の支えを扱う。
保守の考え方と、装置の時間の使い方(模式図)
- 保守の三つの考え方壊れる前に手を打つ
- 装置の時間動く時間の割合が稼働率
図:左は、保守の三つの考え方。壊れてから直す、決まった間隔で保守する、前触れを見て保守する。右は、装置の時間の内訳。動いている時間が長いほど稼働率が高い。保守と故障の時間は、動かない時間になる。目盛りのない模式図、本サイトで作成装置は、止まるほど損をする
半導体の工場には、非常に高価な装置が並ぶ。装置は、動いているあいだに、ウェーハを処理して価値を生む。止まっているあいだは、何も生まない。そのため、工場は、装置をできるだけ長く、安定して動かそうとする。
装置が動いている時間の割合を、稼働率と呼ぶ。このページでは、稼働率を保ちながら、品質も保つための、保守の考え方を見ていく。
定期的な保守
装置は、使い続けると、部品がすり減ったり、汚れがたまったりする。壊れてから直すと、突然止まって、処理中のウェーハが不良になるおそれがある。そこで、壊れる前に、決まった間隔で、部品を替えたり、掃除したりする。これが、定期的な保守である。
保守のために装置を止める時間は、損失になる。しかし、保守を怠ると、故障による長い停止や、不良が増える。両方のつり合いを考えて、保守の間隔を決める。
使うほど消耗する部品
装置には、使うほど消耗する部品がある。たとえば、プラズマを使う装置は、容器の内側の壁が、少しずつ削られたり、汚れたりする。スパッタの装置では、材料の板が、使うほど減っていく。真空を作るポンプや、薬液を流すフィルターも、寿命がある。
これらの部品は、劣化の様子を見ながら、適切な時期に替える。替える時期が遅いと、ウェーハの品質が落ち、早すぎると、無駄な費用がかかる。
調子を見張る
最近の装置は、動いているあいだの多くの数値(温度、圧力、ガスの流量、電力など)を、常に記録している。これらの数値が、いつもと違う動きをしていないかを、見張る。
いつもと違う動きは、故障や不良の前触れのことがある。前触れの段階で見つけ、故障する前に保守をすれば、突然の停止を防げる。この考え方を、予兆の保守と呼ぶ。記録した数値と、できあがったウェーハの品質を結びつけて調べると、どの数値が品質に効くかも分かってくる。
装置どうしの性能をそろえる
工場には、同じ種類の装置が何台もある。同じ条件で処理しても、装置ごとに、できあがりがわずかに違うことがある。装置による違いが大きいと、ウェーハによって品質がばらつく。
そこで、同じ種類の装置どうしで、できあがりがそろうように、調整する。これを、装置の性能のそろえ込みと呼ぶことがある。部品を替えた後や、保守の後には、試しにウェーハを処理して、できあがりを確かめてから、本番の処理に戻す。
装置を作った会社の支え
高度な装置の保守は、工場だけでは難しい。装置を作った会社が、部品の供給、点検、故障の修理、改良した部品の提供などで、工場を支える。装置の会社にとって、装置を売った後のこうした支えは、大事な仕事の一つである。
このページのまとめ
装置は、止まるほど価値を生まないので、稼働率を高く保つ。壊れる前の定期的な保守、消耗する部品の交換、調子の見張り、装置どうしの性能のそろえ込みで、止まりにくく、品質のそろった状態を保つ。装置を作る会社の支えも、工場の安定を支えている。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
定期的な保守を行う理由として、正しいものはどれか。
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答え:1. 壊れてから直すと、突然止まったり不良が出たりするおそれがあるから
壊れる前に部品を替えたり掃除したりして、突然の停止と不良を防ぐ。
問2
装置の調子を見張る目的として、適切なものはどれか。
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答え:1. いつもと違う動きを前触れとして見つけ、故障の前に保守するため
温度や圧力などの数値を見張り、前触れを見つけて、突然の停止を防ぐ。