止めずに動かす:ウェーハの搬送と工場の自動化

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このページの目次
  1. ウェーハは、工場の中を長い旅をする
  2. 容器ごと、機械が運ぶ
  3. 装置の中でも、機械が受け渡す
  4. どのウェーハを、いつ、どこで
  5. すべてを記録する
  6. 自動化は、人をなくすことではない
  7. 装置の調子を見張る
  8. データを、製造の改善に生かす
  9. このページのまとめ
  10. 関係する工程と用語
  11. 次に読む
  12. 理解度チェック

半導体の工場で、ウェーハを入れた容器を装置から装置へ運ぶ自動の搬送と、どのウェーハをいつどの装置で処理するかを決めて記録する仕組みを説明する。装置の調子を見張って保守する考え方と、集めたデータを製造の改善に生かす流れも扱う。

搬送と、工場の管理(模式図)

  1. 天井の軌道容器をつり下ろす成膜露光エッチング天井を走って運ぶ容器ごと、装置から装置へ機械が運ぶ
  2. 工場全体を管理する仕組み装置運ぶ先処理の条件処理の記録装置の値決めて、記録する記録は、不良の原因を絞り込むのに使う
図:左は、天井の軌道を走る運搬の機械が、ウェーハを入れた容器をつり下ろして、装置の入り口に置く様子。右は、工場全体を管理する仕組みと装置のあいだの情報の流れ。管理の仕組みが運ぶ先と処理の条件を決めて伝え、装置は処理の記録と装置の値を返す。模式図、本サイトで作成

ウェーハは、工場の中を長い旅をする

チップを作るには、成膜、リソグラフィ、エッチング、洗浄、検査などの工程を、何度もくり返す。一枚のウェーハは、完成までに、工場の中のたくさんの装置を順に回る。同じ種類の工程でも、層ごとに条件が違うので、決められた順番どおりに、決められた装置で処理する必要がある。

工場の中には、多くのウェーハが同時に流れていて、それぞれが別の段階にいる。どのウェーハを、いつ、どの装置へ運び、どの条件で処理するか。これを間違えずに、止めずに続けるために、半導体の工場では自動化が大きく進んでいる。

容器ごと、機械が運ぶ

クリーンルームのページで学んだとおり、ウェーハは、外の空気から遮った密閉した容器に入れて運ぶ。一つの容器には、複数のウェーハをまとめて入れる。

容器を運ぶのは、天井に張りめぐらせた軌道を走る運搬の機械である。運搬の機械は、軌道の上を走って目的の装置の上まで行き、容器をつり下ろして、装置の入り口に置く。処理が終わると、容器をつり上げて、次の装置へ運ぶ。

人が重い容器を持って歩く必要がなくなるので、運ぶ速さが上がり、落としたり取り違えたりする心配も減る。人がウェーハの近くを歩く機会が減るので、ごみを持ち込むおそれも小さくなる。

すぐに次の装置が空かないときは、容器を一時的に置いておく棚に預ける。棚も自動で出し入れされる。

装置の中でも、機械が受け渡す

装置の入り口に置かれた容器は、装置の口に密着して開けられる。装置の中では、ロボットの腕がウェーハを一枚ずつ取り出し、処理する部屋へ運ぶ。処理が終わると、また容器の中の元の位置に戻す。

ロボットの腕は、薄く割れやすいウェーハを、傷つけず、ごみを出さずに、正確な位置に置く必要がある。真空の中で処理する装置では、外の空気を入れずにウェーハを出し入れするための小部屋を通して、受け渡しを行う。

どのウェーハを、いつ、どこで

自動で運ぶには、どのウェーハを、いつ、どの装置へ運ぶかを決める仕組みが必要である。

それぞれのウェーハ(実際には容器ごとのまとまり)には、どの製品のもので、次にどの工程を受けるのかという情報がひも付けられている。工場全体を管理する仕組みは、この情報と、それぞれの装置の空き具合や調子を見ながら、次に運ぶ先と順番を決める。急ぎの製品を先に流す、といった判断も行う。

装置に容器が届くと、装置は、そのウェーハにどの条件で処理するかを、管理する仕組みから受け取る。条件を人が手で入力する必要がないので、入力の間違いを防げる。

すべてを記録する

処理が終わると、どのウェーハが、いつ、どの装置の、どの部屋で、どの条件で処理されたかが記録される。装置の中の温度や圧力、ガスの流れなどの値も、処理の間ずっと記録される。

この記録は、後で問題が見つかったときに役に立つ。たとえば、検査やテストで不良が見つかったとき、その不良が出たウェーハに共通する装置や時間を探せば、原因の工程を絞り込める。同じ装置で処理したほかのウェーハを、すぐに調べ直すこともできる。

自動化は、人をなくすことではない

自動化が進んでも、工場で働く人の役割がなくなるわけではない。装置の点検や部品の交換、急な故障への対応は、人が行う。処理の条件を決めたり、不良の原因を突き止めて工程を直したりするのも、人の仕事である。

自動化によって、人は重い物を運ぶ、決まった値を入力するといった作業から離れ、判断や改善に力を注げるようになる。

装置の調子を見張る

装置は、使い続けるうちに、部品がすり減ったり、内側に汚れがたまったりして、少しずつ調子が変わる。調子が崩れると、処理の結果がずれ、不良が増える。

そこで、装置から集めた値や、検査と測定の結果を、時間の流れに沿って見張る。値がいつもの範囲から外れそうになったら、不良が出る前に、装置を止めて点検したり、部品を替えたりする。

部品を決まった時期にまとめて替える方法もあるが、集めたデータから、部品がいつ傷みそうかを推し量って、必要なときに替える考え方も広がっている。装置を止める時間を減らしながら、急な故障を防ぐためである。

データを、製造の改善に生かす

工場では、搬送、処理、検査、テストのそれぞれから、非常に多くのデータが集まる。これらを結びつけて調べると、どの条件の組み合わせのときに良品の割合(歩留まり)が上がるのかが見えてくる。

人の経験だけでは気づきにくい関係を、データから見つけ出すために、計算機でデータを分析する技術も使われている。工場の自動化は、人の手間を減らすだけでなく、製造を少しずつよくし続けるための仕組みでもある。

このページのまとめ

ウェーハは、完成までに工場の中の多くの装置を順に回る。密閉した容器に入れ、天井の軌道を走る運搬の機械で装置から装置へ運び、装置の中ではロボットの腕が一枚ずつ受け渡す。工場全体を管理する仕組みが、運ぶ先と順番、処理の条件を決め、処理の記録を残す。装置の調子を見張って不良が出る前に手を打ち、集めたデータを歩留まりの改善に生かす。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

工場の中で、ウェーハを入れた容器を装置から装置へ運ぶ方法として、本文で説明したものはどれか。

答えと解説を見る

答え:2. 天井に張りめぐらせた軌道を走る運搬の機械が、容器をつり下ろして装置に置く

天井の軌道を走る運搬の機械が、目的の装置の上まで行き、容器をつり下ろして入り口に置く。処理が終わると、つり上げて次の装置へ運ぶ。

問2

どのウェーハが、いつ、どの装置で、どの条件で処理されたかを記録しておく理由として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:2. 不良が見つかったときに、共通する装置や時間を探して原因を絞り込めるから

不良が出たウェーハに共通する装置や時間を探せば、原因の工程を絞り込める。同じ装置で処理したほかのウェーハをすぐに調べ直すこともできる。

問3

装置から集めた値を見張る目的として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 装置の調子の崩れに、不良が出る前に気づき、点検や部品の交換をするため

装置は使い続けるうちに調子が変わる。値がいつもの範囲から外れそうになったら、不良が出る前に点検や部品の交換を行う。