半導体の産業で、会社の間で共有される共通の決まり(標準)と、設計済みの回路の部品(設計資産)の役割を説明する。ウェーハの大きさや装置のつなぎ方の標準、チップの間の信号のやり取りの決まり、設計資産を使う利点と注意点を扱う。
共通の決まりと、設計資産の組み合わせ(模式図)
- 共通の決まり別の会社の製品でも組み合わせられる
- 設計資産確かめられた部品を使う
図:左は、共通の決まり。別々の会社が作った装置と容器が、共通の決まりに合わせて作られているので、組み合わせて使える。右は、設計資産。チップは、自社で設計した部分と、設計済みの部品(設計資産)を組み合わせて作る。目盛りのない模式図、本サイトで作成分業を支える、共通の決まり
半導体は、多くの会社が分担して作る。装置を作る会社、材料を作る会社、設計する会社、製造する会社、組み立てる会社が、別々に存在する。それぞれが、互いに合わないものを作ってしまうと、組み合わせられない。
そこで、会社の間で共通に使う決まりがある。この決まりを、標準と呼ぶ。このページでは、標準が何を決めているかと、設計の部品を共有する考え方を、一般的な形で見ていく。
製造に関する標準
製造の現場には、多くの標準がある。たとえば、ウェーハの大きさや厚さは、あらかじめ決まった種類がある。ウェーハの大きさが決まっていれば、装置を作る会社は、その大きさに合わせて装置を作れる。ウェーハを入れる容器や、装置の受け渡しの形にも、決まりがある。
こうした標準があるおかげで、ある会社の装置と、別の会社の容器を組み合わせて使える。もし標準がなければ、会社ごとに、装置を作り直す必要が生じ、費用が大きく増える。
チップの間の信号の決まり
チップどうしが信号をやり取りするときにも、決まりがある。メモリとプロセッサーが、どのような手順で、どのような形の信号を送り合うかが、規格として定められている。
規格が共通であれば、別々の会社が作ったチップを、つなげて使える。メモリの会社と、プロセッサーの会社が、それぞれ独立に開発しても、規格に合わせれば、組み合わせられる。通信や、周辺の機器とのつなぎ方にも、同様に規格がある。
設計済みの回路の部品
チップの設計では、すべてを一から設計するわけではない。すでに設計され、働きが確かめられた回路の部品を、組み合わせて使うことが多い。この部品を、設計資産や、IPと呼ぶ。
たとえば、演算の部分、通信の部分、メモリを扱う部分などが、設計資産として提供される。設計資産を専門に開発して、他の会社に提供する会社もある。
設計資産を使う利点と注意点
設計資産を使う利点は、開発の期間と費用を減らせることである。確かめられた部品を使えば、同じものを一から作るより、早く、確実に作れる。また、自社に得意でない分野を、他社の部品で補える。
一方で、注意点もある。使う部品の権利と、使用料の決まりを、守らなければならない。また、部品の中身が、自社で十分に確認できない場合があり、問題が起きたときの対応を、提供元と決めておく必要がある。どの製造の技術で使えるかも、部品ごとに確かめる。
標準と、競争
標準は、競争を妨げるものではない。共通の決まりがあるからこそ、各社は、決まりの上で、性能や価格、使いやすさで競える。また、標準を決める場に、各社が参加し、自社の技術を提案することもある。
このページのまとめ
半導体の産業では、会社の間で共通に使う決まり(標準)が、分業を支えている。ウェーハの大きさや、チップの間の信号の決まりなどである。また、設計済みの回路の部品(設計資産)を共有することで、設計の期間と費用を減らせる。使うときは、権利と、使える製造の技術を確かめる。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
ウェーハの大きさなどに標準がある利点として、正しいものはどれか。
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答え:1. 会社の違う装置や容器を、組み合わせて使えるから
標準があれば、別々の会社の装置や容器を組み合わせて使える。なければ、会社ごとに作り直す費用が増える。
問2
設計資産(IP)を使う利点として、適切なものはどれか。
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答え:1. 確かめられた部品を使い、開発の期間と費用を減らせる
確かめられた部品を使うと、同じものを一から作るより早く確実に作れる。ただし、権利と使える技術の確認が要る。