結晶の中の線状の欠陥である転位を、向きと大きさを表すバーガースベクトルで読む。シリコンでは、大きさが格子定数の1/√2倍の0.384 nmで、原子の密な{111}面ですべることを、格子定数0.543 nmの値で確かめる。
転位は、余分な半面の端にできる線
点線の丸が、転位の線の位置 刃状転位の模式図 余分な半面の下端 完全転位 b 3.84 Å 部分転位 2.22 Å 結合の長さ 2.35 Å 0 2 4 6 長さ(Å) バーガースベクトルの大きさ a/√2 ≈ 3.84 Å 図:左は、刃状転位の模式図。上半分に余分な半面(中央の列)が入り、その下端が転位の線(紙面に垂直)になる。右は、シリコンの転位のバーガースベクトルの大きさと、結合の長さ。3.84 Å と 2.22 Å は arXiv:mtrl-th/9604006、2.35 Å はイリノイ大学 ECE 340 Lecture 2 式 | 𝐛 | = a 2
転位は、結晶の中の線状の欠陥で、結晶の対称性を局所的に乱し、塑性変形(力を除いても戻らない変形)を担う[2] 。 余分な半面の原子が入った形を刃状転位、結晶がずれて原子の面がらせん状につながった形をらせん転位という[2] 。 両方の性格をもつものが混合転位である[2] 。
向きと大きさを表すのが、バーガースベクトル 𝐛 である。転位の線に対して、刃状では垂直、らせんでは平行になる[2] 。 シリコンの完全な転位では、| 𝐛 | は0.384 nm(3.84 Å)で、格子定数 a の 1 / 2 に当たる[1] 。
式のどこを見るか 見るのは、| 𝐛 | が格子定数で決まることである。a が分かれば、転位のずれの大きさも分かる。
すべりは、原子が密な面で、原子が密な向きに、すべりの量(| 𝐛 | )が小さいほど起きやすい[2] 。 シリコンの計算では、{111 } 面の上の60 °転位とらせん転位が調べられている[1] 。
転位が2 つの部分転位に分かれる場合の大きさは、0.222 nm(2.22 Å)とされる[1] 。
数値例 格子定数 a = 5.43 Å[3] を | 𝐛 | = a / 2 に入れると、約3.84 Å になり、出典の値と一致する(本サイトで計算)。a / 6 からは約2.22 Å で、部分転位の値とも一致する(本サイトで計算)。
結合の長さ(最も近い原子の距離)は2.35 Å である[3] 。 バーガースベクトルは、その約1.63倍 である(本サイトで計算)。
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問1
刃状転位で、バーガースベクトルは転位の線に対してどの向きか。
1 1. 平行2 2. 垂直3 3. 45 度4 4. 向きは決まっていない
答えと解説を見る 答え:2. 垂直
刃状転位では、バーガースベクトルは転位の線に垂直である。らせん転位では平行になる。
問2
格子定数が5.43 Å のシリコンで、完全な転位のバーガースベクトルの大きさはおよそいくつか。
1 1. 約1.9 Å2 2. 約2.35 Å3 3. 約3.84 Å4 4. 約5.43 Å
答えと解説を見る 答え:3. 約3.84 Å
大きさは a/√2 で、5.43 Å を√2 で割った約3.84 Å になる。