ウェーハの表面を平らにする平坦化の必要性と、化学機械研磨(CMP)の仕組みを説明する。薬液と研磨剤、研磨のパッド、余分な銅の除去、削る量の管理、研磨後の洗浄を扱う。
凹凸と焦点、化学機械研磨のしくみ(模式図)
- 凹凸と焦点焦点が合う範囲はごく狭い
- 化学機械研磨化学と機械の働きで削る
図:左は、表面の凹凸と露光の焦点。凹凸があると、高い所には焦点が合っても、低い所には合わない。右は、化学機械研磨。ウェーハを回転するパッドに押し当て、研磨剤を含む液体を流して削る。目盛りのない模式図、本サイトで作成なぜ、平らにするのか
チップは、膜を何層も重ねて作る。層を重ねるたびに、表面には、下の回路による凹凸が生じる。凹凸が積み重なると、次の工程に支障が出る。
たとえば、回路の形を写す露光では、光の焦点が合う範囲が、ごく狭い。表面に凹凸があると、高い所と低い所で、焦点が合わず、形が正しく写らない。また、凹凸の上に配線を作ると、切れたりつながったりしやすい。そこで、層を重ねる合間に、表面を平らにする工程が入る。
化学機械研磨
表面を平らにする代表的な方法が、化学機械研磨(CMP)である。名前のとおり、化学の働きと、機械の働きを合わせて削る。
ウェーハを、下向きに、回転する研磨のパッドに押し当てる。パッドの上には、研磨剤を含んだ液体(スラリー)を流す。スラリーの薬液が表面を化学的に変え、研磨剤の粒が機械的に削る。この二つが合わさって、高い所から先に、なめらかに削れる。
化学と機械を合わせる理由
機械の力だけで削ると、表面に深い傷が付きやすい。化学の力だけでは、削るのに時間がかかり、平らにもなりにくい。両方を合わせることで、傷を抑えながら、平らに削れる。
スラリーの成分は、削る膜の種類ごとに選ばれる。絶縁の膜を削るもの、金属を削るものなど、目的に合わせて使い分ける。
配線を作るための研磨
CMPは、銅の配線を作る工程でも使われる。あらかじめ絶縁の膜に溝を掘り、その上から銅を全面に付ける。すると、溝の中にも、溝の外にも銅が付く。溝の外の余分な銅を、CMPで削り取ると、溝の中にだけ銅が残り、配線になる。この方法を、ダマシンと呼ぶ。
このとき、銅は削るが、下の絶縁の膜は削りすぎない、という選び分けが大切である。スラリーと条件を工夫して、止めたい所で、研磨が止まるようにする。
削る量の管理
CMPで難しいのは、削る量を、ちょうどよく管理することである。削りすぎると、必要な膜が薄くなったり、配線が細くなったりする。削り足りないと、余分な膜が残る。
そこで、研磨の途中で、削る量や膜の厚さを測り、狙いの所で止める。また、表面の回路の形によって、削れやすさが変わるので、広い配線の中央が凹むなど、研磨のむらが生じることがある。設計と工程の両方で、むらを抑える工夫をする。
研磨の後は、洗う
CMPの後のウェーハには、研磨剤の粒や、削りくずが残っている。これらは、不良の原因になるので、研磨の後には、洗浄の工程が続く。洗浄は、ウェーハを傷めないように、慎重に行う。
このページのまとめ
層を重ねるたびに、表面には凹凸が生じ、露光や配線に支障が出る。それを防ぐために、化学機械研磨(CMP)で表面を平らにする。薬液による化学の働きと、研磨剤による機械の働きを合わせる。銅の配線を作る工程でも使われ、削る量の管理と、研磨後の洗浄が大切である。
- 工程:CMP(平坦化)
- 用語:CMP:ウェーハ表面を、化学的な作用と機械的な研磨を組み合わせて削り、平らにする加工である。
- 用語:ダマシン:絶縁膜に配線の溝を先に掘り、金属を埋め込んで余分をCMPで除き、配線を作る方法である。
- 用語:スラリー:固体の微粒子を液体に分散させた懸濁液。半導体製造では、CMPで研磨に用いる研磨剤の液を指すことが多い。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
表面を平らにする必要がある理由として、正しいものはどれか。
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答え:1. 凹凸があると、露光で焦点が合わず、配線も作りにくいから
露光は焦点が合う範囲が狭く、凹凸の上の配線は切れたりつながったりしやすい。
問2
化学機械研磨で、化学の働きと機械の働きを合わせる理由はどれか。
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答え:1. 傷を抑えながら、平らに削るため
機械だけでは傷が付きやすく、化学だけでは遅く平らになりにくい。合わせると、傷を抑えて平らに削れる。