シリコンの単結晶のかたまり(インゴット)を、回路を作れるウェーハに仕上げるまでの流れを説明する。薄く切る、端を丸める、厚さを整える、加工で傷んだ層を取り除く、鏡のように磨く、洗って検査する、という各段階の目的を扱う。
インゴットからウェーハへの流れと、表面の変化(模式図)
- 仕上げの流れ段階を重ねて整える
- 表面の変化凹凸と傷んだ層が取り除かれる
図:左は、インゴットをウェーハに仕上げる流れ。切る、端を丸める、厚さをそろえる、傷んだ層を取る、磨く、洗って検査する。右は、表面の変化。切った直後は凹凸と傷んだ層があり、仕上げると平らになる。目盛りのない模式図、本サイトで作成インゴットから、ウェーハへ
シリコンの単結晶は、まず太い棒の形(インゴット)で作られる。前のページでは、その作り方を学んだ。しかし、インゴットのままでは、回路を作れない。薄い円盤に切り、表面を整えて、初めてウェーハになる。
回路は、ウェーハの表面の、ごく浅い部分に作られる。その表面に、傷や凹凸があると、回路の形がずれたり、不良になったりする。このページでは、インゴットを、鏡のようなウェーハに仕上げる流れを見ていく。
薄く切る
最初の段階は、インゴットを、円盤の形に薄く切ることである。細い線(ワイヤー)に、硬い粒を付けて動かし、インゴットを削って切る方法がよく使われる。一度に、たくさんの円盤を切り出せる。
切るときには、削られた分の材料が失われる。切った直後のウェーハは、表面に凹凸があり、厚さにも、むらがある。
端を丸める
切り出した円盤の端は、角が尖っている。そのままだと、扱うときに欠けやすい。欠けた破片は、ごみになり、ほかのウェーハを傷つける。そこで、端を、なめらかな丸みのある形に削る。
厚さと平らさをそろえる
次に、両面を削って、厚さをそろえ、平らにする。切った直後の凹凸を、ここで取り除く。ウェーハが平らでないと、後の工程の装置で、うまく扱えない。
傷んだ層を取り除く
切ったり削ったりすると、表面のごく浅い部分の結晶が、乱れて傷む。この傷んだ層を、薬液で溶かして取り除く。結晶の乱れが残ったままでは、回路の性能や信頼性に影響するからである。
鏡のように磨く
最後に、ウェーハの表面を、鏡のように磨く。化学の働きと機械の働きを合わせた研磨を使い、凹凸を、ごく小さな範囲まで減らす。回路を作る側の面は、特に念入りに磨く。
この段階で、ウェーハの表面は、見た目にも、鏡のようになる。
洗って、確かめる
磨いた後は、洗浄で、研磨剤や粒子を取り除く。そして、検査を行う。厚さ、平らさ、表面の粒子や傷の有無などを調べ、決められた基準に合うものだけを出荷する。ウェーハの種類や、向きを示す印も、ここで確かめる。
このページのまとめ
インゴットは、切る、端を丸める、厚さと平らさをそろえる、傷んだ層を取り除く、磨く、洗って検査する、という段階を経て、ウェーハになる。回路は表面の浅い部分に作られるので、表面の傷や凹凸、結晶の乱れを、ごく小さく抑えることが重要である。
- 工程:シリコンウェーハの製造
- 用語:シリコンウェーハ:高純度のシリコン単結晶を薄い円板状に切り出し、表面を鏡のように磨いた基板。半導体チップの回路を作り込む土台となる。
- 用語:単結晶インゴット:原子が規則正しく並んだ単結晶のシリコンを、円柱状に成長させた塊。シリコンウェーハの元になる素材。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
切断や研磨のあとに、傷んだ層を薬液で取り除く理由はどれか。
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答え:1. 加工で乱れた結晶が残ると、回路の性能や信頼性に影響するから
切ったり削ったりすると、表面の浅い部分の結晶が乱れる。残ると性能や信頼性に響く。
問2
インゴットを切り出した直後のウェーハの状態として、正しいものはどれか。
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答え:1. 表面に凹凸があり、厚さにもむらがある
切った直後は、凹凸や厚さのむらがある。削る、磨くなどの段階で整える。