屈折率と全反射:光をシリコンの中に閉じ込める条件

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 式
  2. 式のどこを見るか
  3. 数値例
  4. 基礎編のどこに効くか
  5. 次に読む
  6. 理解度チェック
  7. 出典

屈折率の違う二つの材料の境目で光がどう曲がるかを表すスネルの法則と、光が外に出られなくなる臨界角を読む。シリコンと酸化シリコンの屈折率の差で、光を閉じ込められる角度の範囲を、波長1,000 nmと600 nmで確かめる。

屈折率の差が大きいほど、光を閉じ込めやすい

  1. 屈折率が小さい(石英ガラス)屈折率が大きい(シリコン)垂直な線全反射の模式図臨界角は約24.0°
  2. シリコン3.570石英ガラス1.451波長1,000 nm(屈折率)屈折率の比べ差が大きく、臨界角が小さい
図:左は、屈折率の大きい側(下)から境目に当たる光の模式図。垂直な線との角が臨界角より大きいと、すべて跳ね返される。右は、波長1,000 nmの屈折率。シリコンはPVEducation「Optical Properties of Silicon」、石英ガラスはarXiv:0805.0091の300 Kの値。臨界角は本サイトで計算

式

n1sin⁡θ1=n2sin⁡θ2

n1 と n2 は、境目の両側の材料の屈折率である。θ1 と θ2 は、光の進む向きと、境目に垂直な線との間の角である。これがスネルの法則である。

屈折率の大きい側から小さい側へ光が進むとき、θ2 が90°になる角度を臨界角と呼ぶ[3]。

sin⁡θc=n2n1(n1>n2)

θ1 が θc 以上になると、光は境目を通り抜けられず、すべて跳ね返される。これが全反射である[3]。

式のどこを見るか

見るのは、比 n2/n1 である。この比が小さいほど、臨界角は小さくなり、全反射が起こる角度の範囲が広がる。つまり、屈折率の差が大きいほど、光を閉じ込めやすい。

全反射が起こるのは、屈折率の大きい材料の側から、小さい材料の側へ向かう光だけである[3]。反対向きの光では、起こらない。光ファイバーは、屈折率の大きい中心部(コア)を、小さい外側(クラッド)が囲み、全反射でコアの中に光を進める[3]。

閉じ込められるのは、臨界角より斜めに当たる光に限られる。

数値例

波長1,000 nmで、シリコンの屈折率は3.570[1]、石英ガラスは1.451である[2]。石英ガラスの値を、酸化シリコンの屈折率の代わりに使って、シリコンの中から境目に向かう光の臨界角を計算すると、sin⁡θc=1.451/3.570≈0.406 から、約24.0°になる(本サイトで計算)。

境目に垂直な線から24°より斜めに当たる光は、すべて跳ね返される。シリコンの屈折率が大きいため、この角度は小さく、多くの向きの光がシリコンの中に閉じ込められる。

波長600 nmでは、シリコンが3.939[1]、石英ガラスが1.4585[2]で、臨界角は約21.7°になる(本サイトで計算)。波長によって、屈折率が少し変わるため、臨界角も少し変わる。

石英ガラスの屈折率は、温度でも変わる。300 Kでは、波長1.0 μmで1.45086、1.5 μmで1.44507である[2]。

基礎編のどこに効くか

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

光が全反射を起こすのは、どちらの向きの場合か。

答えと解説を見る

答え:2. 屈折率の大きい材料から、小さい材料へ進む場合

臨界角は sinθc = n2/n1(n1 > n2)で決まる。屈折率の大きい側から小さい側へ進む光だけが、臨界角より斜めに当たると全反射する。

問2

二つの材料の屈折率の差が大きいほど、臨界角はどうなるか。

答えと解説を見る

答え:2. 小さくなる

sinθc = n2/n1 なので、差が大きいと比が小さくなり、臨界角は小さくなる。全反射が起こる角度の範囲が広がる。

出典

  1. Optical Properties of Silicon(外部サイト)PVEducation(C. Honsberg、S. Bowden)確認日:
  2. Temperature-dependent absolute refractive index measurements of synthetic fused silica(外部サイト)arXiv(0805.0091)確認日:
  3. Lecture 23(光ファイバーの講義資料)(外部サイト)リーハイ大学(Lehigh University)確認日: