8. 通信・信号処理3 / 4ページ

光で運ぶ:光通信と半導体

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 長い距離を、光で運ぶ
  2. 電気を光に変える
  3. 光を電気に戻す
  4. 色を分けて、重ねて運ぶ
  5. データセンターの中でも光
  6. シリコンで光の部品を作る
  7. 光の部品と電気の回路を近づける
  8. このページのまとめ
  9. 関係する工程と用語
  10. 次に読む
  11. 理解度チェック

光ファイバでデータを運ぶ光通信で、半導体が果たす役割を説明する。電気の信号を光に変える半導体レーザー、光を電気に戻す受光の部品、複数の色の光を重ねる方法、データセンターでの使われ方、シリコンで光の部品を作る技術を扱う。

光通信の流れと、色の重ね方(模式図)

  1. 電気の信号レーザーで光に光ファイバ受光素子で電気に増幅光通信の流れ電気から光へ、光から電気へ
  2. 色A色B色C一本色の重ね方一本で運ぶ量が増える
図:左は、光通信の流れ。電気の信号を半導体レーザーで光に変え、光ファイバで運び、受光素子で電気に戻して、増幅器で大きくする。右は、色の重ね方。色の違う光に別々のデータを乗せ、一本のファイバにまとめて送り、受ける側で色ごとに分ける。目盛りのない模式図、本サイトで作成

長い距離を、光で運ぶ

インターネットの通信は、都市の間や、海をまたぐ距離を、光ファイバで運ばれている。光ファイバは、髪の毛ほどの細さのガラスの線である。光は、この線の中を反射しながら進む。

光は、電気の信号に比べて、長い距離を進んでも弱まりにくく、一本の線で多くの情報を運べる。そのため、長い距離や、大量のデータを運ぶ通信では、光が使われる。光ファイバは電気を通さないので、まわりの雑音の影響も受けにくい。

このページでは、光通信の中で、半導体が受け持つ役割を見ていく。

電気を光に変える

機器の中の信号は電気である。光ファイバに送るには、電気の信号を光に変えなければならない。この役割を受け持つのが、半導体レーザーや発光ダイオード(LED)である。光の半導体の仕組みは、前の分野のページで学んだとおり、電気を流すと光が出る。

通信では、光の強さを、速く細かく切り替えて、情報を乗せる。光を明るくしたり、暗くしたりすることを、データの並びに合わせて行う。遠くまで届けるには、光の向きと色がそろい、細く絞れる半導体レーザーが向いている。

光を電気に戻す

光ファイバの反対側では、届いた光を、再び電気の信号に変える。この役割を受け持つのが、光を受ける半導体の部品(受光素子)である。光が当たると、半導体の中で電子と正孔が生まれ、電流が流れる。

届く光はかすかなので、受光素子の出力は小さい。そこで、すぐそばに、信号を大きくする増幅器を置く。通信用の半導体で学んだ、雑音を加えない増幅器と同じ考え方である。大きくした信号を、デジタルの値に直して、回路に渡す。

色を分けて、重ねて運ぶ

一本の光ファイバで運べる量を増やす方法が、色を分けることである。光は色(波長)によって、混ざらずに同じ線を進める。そこで、色の違う複数の光に、別々のデータを乗せ、一本のファイバにまとめて送る。受ける側では、色ごとに分けて、別々に受ける。

こうすれば、ファイバの本数を増やさなくても、運べる量を増やせる。色を重ねたり分けたりする部品も、光の部品として作られる。

データセンターの中でも光

AIやクラウドのサービスを支えるデータセンターには、数多くのサーバーが並んでいる。サーバーどうしの間を、大量のデータが行き来する。この距離は、都市の間ほど長くはないが、電気の線では、速さや電力の面で苦しくなってきている。

そこで、データセンターの中でも、光が使われるようになった。サーバーの間を光ファイバでつなぎ、端に光を送受信する部品を置く。さらに近い距離でも、光を使う動きがある。ただし、光の部品は、電気の回路に比べて、大きく、高価になりやすい。距離が短いほど、光を使う利点は小さくなる。

シリコンで光の部品を作る

光の部品は、これまで、化合物の半導体で作ることが多かった。一方で、シリコンのウェーハの上に、光を通す細い道(導波路)などを作り込む技術がある。この技術は、シリコンフォトニクスと呼ばれる。

シリコンの上に作れば、電気の回路と光の部品を、同じ製造の流れで作れる。大量に、小さく、安く作れる可能性がある。ただし、シリコンは、自分で光を出すことが苦手である。そこで、光を出す部分だけは、化合物の半導体を貼り合わせて作る方法が使われる。

光の部品と電気の回路を近づける

光と電気の間の変換は、距離が近いほど、電気の信号の速さを下げずに済む。そこで、光の部品を、プロセッサなどのパッケージの中に、一緒に入れる動きがある。前のページまでに学んだ、複数のチップを一つのパッケージにまとめる技術を使う。

この方式では、電気の信号が通る距離が短くなり、電力も抑えられる。一方で、熱の扱いや、光ファイバとのつなぎ方など、パッケージの難しさも増す。光の半導体と、後工程の技術が、一緒に進んでいる分野である。

このページのまとめ

光通信は、光ファイバで、長い距離や大量のデータを運ぶ。電気の信号を光に変えるのは半導体レーザーなど、光を電気に戻すのは受光素子である。色を分けて重ねれば、一本のファイバで運べる量を増やせる。データセンターの中でも光が使われ、シリコンの上に光の部品を作る技術や、光の部品をパッケージに入れる動きが進んでいる。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

光通信で、一本の光ファイバで運べる量を増やす方法として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 色(波長)の違う光に別々のデータを乗せ、まとめて送る

光は色によって混ざらずに同じ線を進める。色の違う光に別々のデータを乗せて、一本のファイバにまとめて送る。

問2

光通信で、光を電気の信号に戻す部品はどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 受光素子

光ファイバの反対側では、受光素子が光を受けて電流に変える。出力は小さいので、増幅器で大きくする。