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膜をつける方法:成膜の種類と選び方

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 成膜とは
  2. 粒をたたき出して付ける:スパッタ
  3. ガスの反応で付ける:化学気相成長
  4. 一層ずつ重ねる:原子層堆積
  5. 凹凸への付き方の違い
  6. 使い分けの考え方
  7. このページのまとめ
  8. 関係する工程と用語
  9. 次に読む
  10. 理解度チェック

ウェーハの上に薄い膜をつける成膜の方法を説明する。金属の粒をたたき出して付けるスパッタ、ガスの反応で付ける化学気相成長、一層ずつ重ねる原子層堆積について、段差への付き方と使い分けを扱う。

三つの成膜の方法と、溝への付き方(模式図)

  1. スパッタ粒をたたき出して付ける化学気相成長ガスを反応させて付ける原子層堆積一層ずつ付ける三つの成膜の方法付け方と得意なことが違う
  2. スパッタ原子層堆積溝への付き方均一に付く方法が細かい部分に向く
図:左は、三つの成膜の方法の特徴。右は、深い溝への膜の付き方。スパッタは上面に厚く付き、溝の側面や底は薄い。原子層堆積は、ほぼ均一に付く。目盛りのない模式図、本サイトで作成

成膜とは

チップは、薄い膜を何層も重ねて作る。膜には、電気を通さない絶縁の膜、電気を通す金属の膜、半導体の膜などがある。ウェーハの上に、こうした膜をつける工程が、成膜である。

膜は、ただ付ければよいのではない。厚さがそろっていること、狙った性質を持つこと、細かい凹凸のある表面にもむらなく付くことが求められる。このページでは、代表的な成膜の方法と、その使い分けを見ていく。

粒をたたき出して付ける:スパッタ

金属の膜によく使われるのが、スパッタである。真空の容器の中で、膜にしたい材料の板(ターゲット)に、勢いのあるイオンをぶつける。すると、ターゲットから材料の粒がたたき出され、向かい側のウェーハに降り積もって、膜になる。

材料を、そのまま飛ばして付けるので、金属の膜を作りやすい。一方で、粒がまっすぐ飛ぶため、深い溝の底や側面には付きにくい。

ガスの反応で付ける:化学気相成長

もう一つの代表が、化学気相成長(CVD)である。膜の材料のもとになるガスを容器に入れ、ウェーハの表面で反応させて、膜を作る。ウェーハを温めたり、プラズマを使ったりして、反応を進める。

ガスが表面に回り込むので、スパッタよりも、凹凸の表面にむらなく付けやすい。絶縁の膜をはじめ、さまざまな材料の膜に使われる。反応の条件を変えることで、膜の性質も調整できる。

一層ずつ重ねる:原子層堆積

さらに細かく制御する方法が、原子層堆積(ALD)である。二種類のガスを、交互に、短い時間ずつ流す。一回の流れで付くのは、ほぼ一層分だけで、これを繰り返して厚くする。

一層ずつ付くので、膜の厚さを非常に細かく決められる。深く細い溝の奥にも、むらなく付く。ただし、一回に付く量が少ないので、時間がかかる。トランジスタの極めて薄い膜など、精密さが要る場面で使われる。

凹凸への付き方の違い

チップの表面には、溝や穴がある。成膜の方法によって、溝の底や側面への付き方が違う。スパッタは、上面に厚く付き、側面や底には薄い。CVDは、それよりむらが小さい。ALDは、ほぼ均一に付く。

回路が細かくなり、溝が深く細くなるほど、均一に付ける方法が重要になる。そのため、細かい部分には、ALDのように、付き方が均一な方法が選ばれる。

使い分けの考え方

どの方法を選ぶかは、付ける材料、必要な厚さ、表面の形、許せる時間で決まる。厚い膜を速く付けたいときは、速い方法を選ぶ。極めて薄い膜を精密に付けたいときは、遅くても精密な方法を選ぶ。

また、銅の配線には、成膜のほかに、めっきという方法も使われる。配線の工程は、別のページで学ぶ。

このページのまとめ

成膜には、材料をたたき出して付けるスパッタ、ガスの反応で付ける化学気相成長、一層ずつ付ける原子層堆積がある。凹凸への付き方、厚さの精密さ、かかる時間が、方法ごとに違う。回路が細かくなるほど、均一に付ける方法が重要になる。

  • 工程:成膜(CVD、PVD、ALD)
  • 用語:ALD:原料ガスを交互に供給し、薄膜を原子層単位で積み重ねる成膜手法。
  • 用語:CVD:原料ガスの化学反応で、ウェーハ表面に薄い膜をつくる成膜法。
  • 用語:スパッタリング:真空中でプラズマのイオンをターゲットに衝突させ、はじき出した原子を基板に付着させて薄い膜をつくる成膜法。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

深く細い溝の奥にも、むらなく膜を付けやすい方法はどれか。

答えと解説を見る

答え:1. 原子層堆積

原子層堆積は、一層ずつ付くため、深く細い溝にも均一に付きやすい。

問2

スパッタの説明として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. ターゲットにイオンをぶつけ、たたき出した粒をウェーハに付ける

スパッタは、ターゲットから粒をたたき出して、ウェーハに降り積もらせる方法である。