製造の途中で、ウェーハの上の小さな欠陥や寸法のずれを見つける検査と測定の仕組みを説明する。光を当てて散らばる光をとらえる検査、電子の線で拡大して見る観察、膜の厚さや形の寸法を測る方法と、見つけた結果を製造に生かす流れを扱う。
欠陥を見つける二つの方法(模式図)
- 散らばる光で見つけるごみそのものが見えなくても、散らばる光で場所が分かる
- 隣と比べて、違いを探す同じはずの像の違いを、欠陥の候補として記録する
図:左は、平らな表面に光を当てたとき。きれいな場所では光は決まった向きにはね返るが、ごみがあると光の一部が散らばり、その光をとらえてごみを見つける。右は、同じ設計の三つのチップの同じ場所を比べる方法。真ん中のチップだけに違い(丸で囲んだ所)があるので、そこを欠陥の候補として記録する。模式図、本サイトで作成目に見えないものを、どう見つけるか
前のページでは、製造の途中と最後に、何度も確かめることを学んだ。このページでは、そのうち前工程の途中で行う検査と測定に目を向け、その仕組みを見ていく。
チップの回路の線は、ふつうの光の顕微鏡でもはっきりとは見えないほど細い。その上に落ちたごみや、形の乱れは、さらに小さいことも多い。しかも、一枚のウェーハの上には、非常に多くのチップが並んでいる。これを、製造の流れを止めないように、短い時間で確かめなければならない。
そのため、検査と測定には、目的に合わせた何種類もの方法が使われる。大きく分けると、欠陥を探す「検査」、見つけた欠陥を詳しく見る「観察」、寸法や厚さを数で表す「測定」がある。
光を当てて、散らばる光をとらえる
ウェーハの表面のごみや傷を探す方法の一つが、光を当てて、はね返る光の様子を見る方法である。
平らできれいな表面に光を当てると、光は鏡のように決まった向きにはね返る。そこに小さなごみや傷があると、光の一部が、決まった向きから外れて、あちこちに散らばる。この散らばった光をとらえれば、ごみや傷がある場所が分かる。ごみそのものが見えるほど拡大しなくても、ごみがあることは見つけられる。
回路の形がまだない、表面が平らなウェーハでは、この方法で全面を素早く調べられる。
隣どうしを比べて、違いを探す
回路の形ができたウェーハでは、表面にはもともと複雑な形があるので、散らばる光だけでは欠陥と区別しにくい。
そこで使われるのが、比べる方法である。一枚のウェーハの上には、同じ設計のチップが繰り返し並んでいる。隣り合うチップの同じ場所の像を撮って比べると、本来は同じになるはずである。違いがあれば、そこに欠陥がある可能性が高い。
この方法では、どんな欠陥かを前もって知らなくても、「ほかと違う場所」として見つけられる。見つけた場所は、ウェーハの上の位置として記録される。
電子の線で、拡大して見る
光で見つけた欠陥が、何なのかを詳しく知るには、さらに拡大して見る必要がある。光には、波の長さより細かいものははっきり見えないという限りがある。
そこで、光の代わりに、電子の線を使う。電子の線を細く絞って表面をなぞり、表面から出てくる電子をとらえて像を作る。この装置を「電子顕微鏡」と呼ぶ。光よりもはるかに細かいものまで見分けられるので、欠陥の形や大きさを確かめられる。
電子の線は、空気の分子にぶつかると、まっすぐ進めない。そのため、電子顕微鏡では、ウェーハを置く部屋の中の空気を抜き、真空に近い状態にしてから観察する。
電子顕微鏡で見ると、欠陥がごみなのか、形のくずれなのか、膜のはがれなのかといった種類が分かる。種類が分かれば、どの工程で起きたのかを推し量る手がかりになる。
寸法と厚さを測る
検査と並んで欠かせないのが、測定である。
一つは、リソグラフィやエッチングで作った形の幅などの寸法を測ることである。電子顕微鏡で上から見て、線の幅を測る方法がある。また、細かい形が規則正しく並んだ場所に光を当て、はね返る光の色ごとの強さの変わり方から、形の幅や高さを計算で求める方法もある。
もう一つは、膜の厚さを測ることである。薄い膜に光を当てると、膜の表面ではね返る光と、膜の下ではね返る光が重なり合う。その重なり方は、膜の厚さによって変わる。これを利用して、膜の厚さを求める。
さらに、新しく描いた形が、前の層の形とずれていないかを測ることも大切である。チップは多くの層を重ねて作るので、層どうしの位置がずれると、上と下の配線がうまくつながらない。
すべては調べない:抜き取りと、急ぐ判断
検査や測定には時間がかかる。すべてのウェーハの、すべての場所を、細かく調べていては、製造が進まない。
そこで、多くの場合、決まった割合でウェーハを抜き出し、決まった場所を調べる。結果が決まりの範囲から外れたときは、すぐに調べる数を増やしたり、装置を止めて原因を探したりする。
調べた結果は、時間の流れに沿って記録され、見張られている。結果が少しずつずれていく傾向が見えれば、不良が出る前に、装置の調整などの手を打てる。
見つけた欠陥を、製造に生かす
検査で見つけた欠陥の位置と種類は、後のウェーハテストの結果と照らし合わせることもできる。どの欠陥が、実際にチップを不良にしているかが分かれば、本当に直すべき工程に力を注げる。
このように、検査と測定は、不良品を見分けるためだけでなく、製造の工程をよくし、歩留まりを上げるための情報を集める役割を持っている。
このページのまとめ
前工程の途中では、欠陥を探す検査、詳しく見る観察、寸法や厚さを数で表す測定を行う。平らな表面では散らばる光でごみを見つけ、回路の形があるウェーハでは隣のチップと比べて違いを探す。電子顕微鏡で拡大して欠陥の種類を確かめる。形の寸法、膜の厚さ、層どうしのずれを光や電子で測る。結果は記録して見張り、製造の改善に生かす。
理解度チェック
本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。
問1
平らなウェーハの表面に光を当てて、ごみや傷を見つける仕組みとして、正しいものはどれか。
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答え:2. ごみや傷があると、光の一部が決まった向きから外れて散らばるので、その光をとらえるから
平らな表面では光は決まった向きにはね返るが、ごみや傷があると光の一部が散らばる。この散らばった光をとらえて、ごみや傷の場所を見つける。
問2
回路の形ができたウェーハで、隣り合うチップの像を比べる理由として、正しいものはどれか。
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答え:1. 同じ設計のチップが繰り返し並んでいるので、本来同じはずの像に違いがあれば、そこに欠陥がある可能性が高いから
同じ設計のチップの同じ場所は、本来同じ像になる。違いがある場所を「ほかと違う場所」として見つければ、欠陥の種類を前もって知らなくても探せる。
問3
欠陥を詳しく見るのに、光の代わりに電子の線を使う理由として、正しいものはどれか。
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答え:2. 光には波の長さより細かいものははっきり見えない限りがあり、電子の線ではさらに細かいものまで見分けられるから
光で見分けられる細かさには限りがある。電子の線を使う電子顕微鏡では、はるかに細かいものまで見分けられ、欠陥の形や種類を確かめられる。