確かめる:検査の流れと、信頼性の考え方

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このページの目次
  1. なぜ確かめるのか
  2. 工程の途中で確かめる
  3. ウェーハのまま、電気で確かめる
  4. パッケージに入れてから確かめる
  5. 長く使えるかを確かめる:信頼性
  6. 初期故障を出荷の前に取り除く
  7. 短い期間で、長い年月を確かめる
  8. このページのまとめ
  9. 関係する工程と用語
  10. 次に読む
  11. 理解度チェック

半導体の製造で、どの段階で何を確かめるのかを、工程の途中の検査、ウェーハのままの電気のテスト、パッケージ後の最終テストの順に説明する。長く使えることを確かめる信頼性の考え方と、故障の起きやすさの変わり方も扱う。

検査の流れと、故障の起きやすさ(模式図)

  1. 工程の途中の検査膜の厚さ・寸法・ごみウェーハテスト針を当てて電気で確かめる組み立て(後工程)最終テスト温度を変える・性能で分ける確かめる段階早い段階で見つけるほど、無駄が少ない
  2. 初期故障偶発故障摩耗故障使う時間故障の起きやすさバスタブ曲線故障の起きやすさは、三つの時期で変わる
図:左は、製造の中で確かめる段階の流れ。工程の途中の検査、ウェーハのままの電気のテスト、組み立て、最終テストの順に進む。右は、使う時間と故障の起きやすさの関係(バスタブ曲線)。使い始めは初期故障が多く、その後は少ない時期が続き、長く使うと摩耗故障で再び増える。目盛りのない模式図、本サイトで作成

なぜ確かめるのか

半導体のチップは、非常に多くの工程を重ねて作る。どの工程も高い精度で管理されているが、目に見えないほど小さなごみや、わずかな寸法のずれで、回路が正しく動かなくなることがある。どれほど注意しても、不良を完全になくすことは難しい。

そのため、製造の途中と最後に、何度も確かめる。確かめる目的は、主に二つある。

一つ目は、不良品をお客さまに届けないことである。動かないチップや、すぐに壊れるチップを、出荷の前に取り除く。

二つ目は、製造そのものをよくすることである。どこで、どんな不良が起きているかを調べ、原因の工程を直せば、良品の割合が上がる。作ったチップのうち良品の割合を「歩留まり」と呼ぶ。歩留まりは、製造の費用を大きく左右する。

工程の途中で確かめる

前工程では、工程ごとに、ウェーハの状態を確かめる。たとえば、次のような検査や測定がある。

* 付けた膜の厚さが、ねらいどおりかを測る。* リソグラフィで描いた形の寸法や、前の層との位置のずれを測る。* ウェーハの表面に、ごみや傷、形の乱れがないかを、光や電子の線を当てて調べる。

これらは、まだ回路ができあがる前の検査である。問題を早く見つけるほど、不良のウェーハに次の工程を重ねる無駄を減らせる。また、装置の調子が崩れ始めたことにも早く気づける。

ウェーハのまま、電気で確かめる

前工程が終わると、ウェーハの上には、チップが縦と横に並んでいる。この段階で、一つ一つのチップに電気を流し、正しく動くかを確かめる。これを「ウェーハテスト」と呼ぶ。

ウェーハテストでは、「プローバ」という装置がウェーハを動かし、細い針がたくさん並んだ部品を、チップの電極に正確に押し当てる。針の先には「テスター」という装置がつながっている。テスターは、決められた電気の信号をチップに送り、返ってくる信号が正しいかを調べる。

テストで不良と分かったチップは、記録しておき、後の工程で組み立てないようにする。良いチップだけをパッケージに入れれば、組み立ての材料や手間の無駄を省ける。

パッケージに入れてから確かめる

チップを切り分け、パッケージに入れたあとにも、もう一度電気で確かめる。これを「最終テスト」と呼ぶ。

組み立ての途中で、チップが傷んだり、配線がうまくつながらなかったりすることがある。最終テストでは、こうした不良を見つける。また、使われる場面を考えて、温度を変えて動かしたり、動く速さや使う電力が決まりの範囲に入っているかを調べたりする。

性能によって製品を分けることもある。同じように作ったチップでも、わずかな違いから、速く動けるものとそうでないものが出る。テストの結果に応じて、異なる製品として出荷することがある。

長く使えるかを確かめる:信頼性

テストに合格したチップでも、使い始めてから壊れることがある。決められた条件で、決められた期間、正しく働き続ける性質を「信頼性」と呼ぶ。

半導体の製品が壊れる起きやすさは、使う時間によって変わる。その変わり方は、おおまかに三つの時期に分けて考えられる。

* 使い始めのころは、製造のときに入り込んだ小さな欠陥のために、壊れるものが出やすい。これを「初期故障」と呼ぶ。時間がたつにつれて、こうした製品は少なくなる。* その後は、壊れることが少なく、起きても偶然によるものが多い時期が長く続く。* さらに長く使うと、材料が少しずつ傷み、壊れるものが再び増えてくる。これを「摩耗故障」と呼ぶ。

この変わり方をグラフにすると、底が平らな器の断面のような形になる。その形から「バスタブ曲線」と呼ばれる。

初期故障を出荷の前に取り除く

初期故障を起こす製品を、お客さまに届ける前に取り除く方法がある。チップを、普段より高い温度や高い電圧で、しばらく動かしてみるのである。弱いところのある製品は、この間に壊れるので、出荷の前に見つけられる。この方法を「バーンイン」と呼ぶ。

高い信頼性が求められる自動車や産業の機器に使う製品では、こうした確かめ方が、特に念入りに行われる。

短い期間で、長い年月を確かめる

製品が長く使えるかを確かめるのに、実際にその年月のあいだ待つわけにはいかない。そこで、温度や電圧、湿度などを、普段より厳しい条件にして試す。厳しい条件では、材料の傷み方が速く進むので、短い期間で、長く使ったときの様子を推し量れる。このような試し方を「加速試験」と呼ぶ。

試験で壊れた製品は、どこが、なぜ壊れたのかを詳しく調べる。これを「故障解析」と呼ぶ。分かった原因は、設計や製造の工程に戻して、次の製品の改良に生かす。

このページのまとめ

半導体の製造では、工程の途中の検査、ウェーハのままの電気のテスト、パッケージ後の最終テストと、何度も確かめる。不良品を届けないためと、製造をよくして歩留まりを上げるためである。長く使えるかという信頼性は、初期故障、偶然の故障、摩耗故障の三つの時期で考える。バーンインで初期故障を取り除き、加速試験で長く使ったときの様子を短い期間で確かめる。

  • 工程:最終検査(テスト)
  • 用語:バーンイン:製品に高温や電圧などの負荷をかけて動作させ、初期に故障しやすいものを出荷前に取り除く試験。
  • 用語:プローバ:ウェーハ上のチップの電極に探針を接触させ、電気的特性を測る検査のために、ウェーハを位置合わせして移動させる装置。
  • 用語:半導体テスタ:半導体チップに電気信号を与え、動作や電気的特性が仕様どおりかを調べて良否を判定する検査装置。
  • 用語:歩留まり:製造した製品のうち、規格を満たす良品が占める割合。半導体では、ウェーハ上のチップのうち検査に合格したものの割合を指すことが多い。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

ウェーハテストの説明として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:2. 前工程が終わったウェーハの上のチップに針を当て、電気の信号で正しく動くかを確かめるテスト

ウェーハテストでは、プローバが針をチップの電極に押し当て、テスターが信号を送って、返ってくる信号が正しいかを調べる。不良のチップは記録して、組み立てないようにする。

問2

使い始めのころに、製造のときに入り込んだ小さな欠陥のために壊れる故障を何と呼ぶか。

答えと解説を見る

答え:3. 初期故障

使い始めのころは、製造のときの小さな欠陥のために壊れるものが出やすい。これを初期故障と呼ぶ。長く使って材料が傷んで壊れるのは摩耗故障である。

問3

「加速試験」の目的として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:2. 厳しい条件で材料の傷み方を速め、長く使ったときの様子を短い期間で推し量るため

長い年月を実際に待つことはできないので、温度や電圧などを厳しくして傷み方を速め、短い期間で長く使ったときの様子を推し量る。