5. 検査と信頼性6 / 6ページ

歩留まりを管理する:不良を減らす考え方

公開日:作成者:hysd(SemiCompass運営者)

このページの目次
  1. 歩留まりは、収益を左右する
  2. 不良には、二つの種類がある
  3. 小さいチップほど、不良に強い
  4. 不良の場所から、原因を探る
  5. 検査の結果と、つなげて考える
  6. 条件を変えて、確かめる
  7. 新しい製品を立ち上げるときが、大変
  8. このページのまとめ
  9. 関係する工程と用語
  10. 次に読む
  11. 理解度チェック

歩留まりを高く保つための考え方を説明する。歩留まりの意味、不良が出る原因の種類、チップの大きさと不良の関係、不良の場所の分布から原因を探す方法、製造の条件を変えて確かめる手順を扱う。

ウェーハマップと、チップの大きさ(模式図)

  1. 端に不良が集まっている例ウェーハマップ不良の分布が原因の手がかりになる
  2. 大きなチップ小さなチップ不良が当たると失う面積が大きい当たったチップだけが不良になるチップの大きさ大きいほど当たりやすい
図:左は、ウェーハマップ。不良のチップ(濃い四角)の分布から、原因の手がかりを得る。右は、チップの大きさと不良。同じ数の不良が起きても、大きなチップは当たりやすく、失う面積も大きい。目盛りのない模式図、本サイトで作成

歩留まりは、収益を左右する

歩留まりは、作ったチップのうち、良品として使える割合である。ウェーハの上には、同じチップが多数並んで作られる。その一部が不良になると、良品の数が減る。ウェーハを作る費用は、良品の数にかかわらずほぼ一定なので、歩留まりが下がると、良品一個あたりの費用が上がる。

そのため、歩留まりは、半導体の製造では、最も重要な管理の対象である。わずかな歩留まりの違いが、工場の収益に大きく影響する。このページでは、歩留まりを高く保つための考え方を見ていく。

不良には、二つの種類がある

不良の原因は、大きく二つに分けられる。一つは、ごみや傷など、ランダムに起きる原因である。空気中の微粒子が付いたり、結晶の欠陥があったりして、ウェーハのあちこちで、偶然に不良が出る。

もう一つは、製造の条件が決まった方向にずれたために、同じ場所や同じ形で繰り返し起きる原因である。たとえば、露光の焦点が少しずれていたり、エッチングの深さがずれていたりする。この種類の不良は、ウェーハ全体や、特定の場所に偏って出る。原因を直せば、まとめて減らせる。

小さいチップほど、不良に強い

ランダムに起きる不良は、チップの面積に比例して、当たりやすくなる。同じ数のごみがウェーハにあっても、チップが大きいほど、ごみがチップに当たる確率が高い。

そのため、大きなチップほど、歩留まりが下がりやすい。小さなチップなら、ごみが当たったチップだけが不良になり、残りは良品になる。この理由から、大きなチップを、小さなチップに分けて作る考え方が出てくる。チップレットは、その例である。

不良の場所から、原因を探る

テストで見つかった不良のチップが、ウェーハのどこにあるかを、地図のように描くことができる。この地図を、ウェーハマップと呼ぶ。

不良の分布の形は、原因の手がかりになる。ウェーハの端に不良が集まっているなら、端での処理のむらが疑われる。縁に沿った輪の形なら、回転する装置の影響が疑われる。同じ場所の不良が、何枚ものウェーハに続くなら、特定の装置や、フォトマスクの欠陥が疑われる。ランダムに散らばっているなら、ごみが原因の可能性が高い。

検査の結果と、つなげて考える

製造の途中で行う検査や測定の結果も、原因の手がかりになる。ウェーハごとに、どの装置を、いつ、どの条件で通ったかを記録しておく。不良の多いウェーハに共通する装置や条件を探せば、原因に近づける。

大量のデータを、統計の方法で調べ、不良の原因になっている条件を探すことも行われる。何千ものウェーハと、何百もの工程の条件の中から、関係の深いものを見つけ出す作業である。

条件を変えて、確かめる

原因が見つかったと思っても、すぐに全体を変えることはしない。まず、少数のウェーハで、条件を変えて試す。変えた条件のウェーハと、変えなかったウェーハで、歩留まりに差が出るかを比べる。

差が確かに出たら、その条件を、工場全体に反映する。変えた後も、歩留まりが予想どおりに上がったかを見て、確かめる。この、見つけて、試して、確かめる流れを、何度も繰り返して、歩留まりを高めていく。

新しい製品を立ち上げるときが、大変

新しい製品や、新しい製造の技術を立ち上げるときは、歩留まりが低い。条件が決まりきっておらず、原因の分からない不良が多いからである。

量産に向けて、歩留まりを上げていく期間を、立ち上げと呼ぶ。この期間に、原因を一つずつ見つけて直す。立ち上げが早い工場ほど、新しい製品を早く、安く出せる。歩留まりの管理の力は、工場の競争力の一つである。

このページのまとめ

歩留まりは、良品として使えるチップの割合で、収益を左右する。不良には、ごみなどによるランダムなものと、製造の条件のずれによるものがある。チップが大きいほど、ランダムな不良に当たりやすい。ウェーハマップや検査のデータから原因を探り、少数のウェーハで確かめてから反映する。新しい製品の立ち上げでは、この繰り返しで歩留まりを高める。

  • 工程:検査・計測
  • 工程:最終検査(テスト)
  • 用語:プローバ:ウェーハ上のチップの電極に探針を接触させ、電気的特性を測る検査のために、ウェーハを位置合わせして移動させる装置。
  • 用語:走査型電子顕微鏡:細く絞った電子ビームで試料の表面を走査し、出てくる電子から像を作る顕微鏡である。
  • 用語:歩留まり:製造した製品のうち、規格を満たす良品が占める割合。半導体では、ウェーハ上のチップのうち検査に合格したものの割合を指すことが多い。

理解度チェック

本文の内容から答えられる問いです。答えを選ぶと、正しいかどうかと解説が出ます。

問1

チップが大きいほど歩留まりが下がりやすい理由として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. ランダムに起きる不良に、チップが当たる確率が高くなるため

ランダムに起きる不良は、チップの面積に比例して当たりやすくなる。大きなチップほど、歩留まりが下がりやすい。

問2

ウェーハマップで、不良の分布から原因を探る例として、正しいものはどれか。

答えと解説を見る

答え:1. ウェーハの端に不良が集まっていれば、端での処理のむらを疑う

不良の分布の形は、原因の手がかりになる。端に集まっていれば、端での処理のむらなどが疑われる。